精神病疾患とは、どんな病気?

精神科疾患の原因は、未だ十分に解明されていません。私は、心の発達不全が基底に存在する状態で、生育史上の問題(両親との関係、トラウマ)、コンプレックス、人間関係のストレス、過労、睡眠不足など悪条件が重なった時に、精神科疾患が発病すると考えています。発病時には、たいてい「不安がマイナス思考を招き、マイナス思考が不安を増悪させる」というような悪循環が存在します。

完璧な精神状態の人は存在せず、誰でも、多かれ少なかれ心の問題を抱えています。誰でも、欠点や弱点があり、誰もが心の一部に未発達な部分を抱えています。ですから、悪条件が重なれば、誰でも精神科疾患を発病する可能性があります。精神科疾患にかかる患者さんが特別であるというわけではありません。誰でもかかる可能性がある病気です。

心の健康

以下、代表的な精神科疾患について簡単に解説しました。ここに記載した症状のいくつかが、自分に当てはまるからといって、「精神科疾患にかかっている」と考えないでください。心の病気の症状の多くは、健康な人にも見られます。誰にでもある不安や猜疑心がひどくなり、日常生活に支障をきたした場合、精神科疾患として治療するのです。

紙面に限りがあるので、治療法について詳細には述べておりません。自分が精神科疾患にかかっている可能性があると思われる方は、私のホームページや著書を読んで、心の健康を取り戻す努力をしてください。それでも改善しない場合は、神経科クリニックを受診してください。

1・精神分裂病

自我の機能低下を基礎に、幻覚、妄想、興奮、思考の解体などをきたす疾患です。以前は、不治の病であるかのような誤解や偏見を受けていましたが、最近では治療法が進歩し、適切な薬物療法と精神療法、社会復帰のためのリハビリテーションを行うことによって、ほとんどの患者さんは回復して、社会復帰可能です。

(自覚症状)「悪口が聞こえてくる」「近所の人が嫌がらせをする」「ずっと行動が監視されている」「何かの機械で、心身に影響を与えられている」
(他覚所見)ひきこもり、不可解な言動、まとまりのない話、硬い表情、無動無言、興奮、支離滅裂

2.うつ病

精神的なエネルギーの低下によって、気分の憂欝、悲観的思考、絶望感、希死念慮などをきたす疾患です。うつ病は、「心のガス欠」です。「心の風邪」と呼んでよいくらい、頻度の高い疾患です。薬物療法によって、ほとんどの患者さんは軽快します。

(自覚症状)「気分が憂うつで、何をするのもおっくうである」「頭も体も動かない」「過去は失敗の連続であり、現在の状況は悲惨であり、未来には何の希望もない」
(他覚所見)落ち込み、自信喪失、判断力低下、行動力低下、何事も楽しめない

3.躁病
心のブレーキが故障するために、行動が制御できなくなり、気分の高揚、軽佻さ、多弁、多動、易怒、不機嫌、誇大妄想などをきたす疾患です。薬物療法が奏功しますが、行動が制御できない時は、精神病院に入院させて、行動制限せざるを得ない場合があります。
(自覚症状)「私はすごい発明をした」「私は、大金持ちになる」「私は天才である」
(他覚所見)多弁、多動、落ち着きなさ、話題が飛ぶ、浪費癖、大きな事業を企てる、怒りっぽい、好訴的

4.神経症

過度の不安、意識と無意識の不調和などによって、さまざまな症状をきたす疾患群の総称です。主な症状によって、下記のように分類されます。

(1)不安神経症
不安、動悸、息苦しさ、胸部不快感などを発作的に、あるいは持続的にきたす状態 です。パニック障害とも呼ばれます。過呼吸症候群(呼吸が早くなり、手足がしびれ、硬直し、意識がもうろうとする発作)を伴うことがあります。
(2)恐怖症
対人恐怖、赤面恐怖、不潔恐怖、乗り物恐怖、閉所恐怖、異性恐怖,自己視線恐怖など、特定の物や状況を極端に恐れる状態です。
(3)強迫神経症
意味のない特定の行為を繰り返さずにおれなかったり(強迫行為),意味のない特定の考えが繰り返し頭に浮かんでくる(強迫観念)状態です。 例)手洗い強迫、確認強迫、縁起かつぎ強迫、スケジュール強迫
(4) 心気神経症
些細な身体の変調にこだわり、「自分が重い病気にかかっている」と思い込み、不安になっている状態です。
(5) ヒステリー
心の中の処理できない葛藤が、身体症状や意識障害をもたらす状態です。身体に症状が出る場合を「転換型」と呼び、意識に異常をきたす場合を「解離型」と呼びます。
例)身体の一部が動かない、歩けない、声が出ない、目が見えない、けいれん発作,多重人格(解離性同一性障害)、心因性健忘、心因性遁走(失踪)、心因性もうろう状態
(6)抑うつ神経症
大きなストレスや性格上の問題によって、うつ状態が引き起こされたものです。
(7) 離人神経症
自分の感情、思考、身体が自分のものではないように感じたり、外界に現実感が感じられなくなる状態です。
(8) 神経衰弱
身体的な疾患がないのに、全身倦怠感、疲れ易さ、頭痛、めまいなどが持続する状態です。

5.人格障害

心の発育過程の障害によって、著しい性格の歪みを生じ、その結果、自傷他害行為などの問題行動を繰り返すものです。

(1)境界性人格障害(ボーダーライン)
人格がよい子と悪い子の二つに分離し、非常に不安定です。他者を過大に評価したり、こきおろしたり、激しい攻撃性を向けたりして、他者と安定した関係が保てません。他者に依存しながら、他者を自分の思うままに操ろうとします。他者から見捨てられることを極端に恐れます。 症状)抑うつ、情緒不安定、一過性の精神病状態、攻撃性、他罰性、責任転嫁、自傷行為、狂言的自殺未遂、空想的な世界観と万能感、浪費癖、陰湿な嫌がらせ。
(2)反社会性人格障害
倫理感や人間的な感情が欠乏し、無反省に犯罪や他害行為を繰り返すものです。児童の場合は「行為障害」と診断されます。
(3)分裂病質人格障害(シゾイド)
親密な対人関係の回避、他者からの孤立、無関心、冷淡、感情の平板化などを特徴とするものです。

6.摂食障害

若い女性に多く見られる食行動の異常です。痩せることに対する過剰なこだわりがあります。

(1)拒食症(神経性食思不振症)
食事が食べられなくなり、著しい体重減少をきたした状態です。無月経を伴い、たいてい過剰に活動的です。やせているのに、自分はまだ太っていると感じるという「身体イメージの障害」を伴います。隠れ食いをしたり、むちゃ食いして、自分で嘔吐を誘発したりすることがあります。
(2)過食症
ストレスを食べることで発散している状態です。むちゃ食いして、自分で嘔吐を誘発し、嘔吐した後、憂うつな気分に陥ります。

7.思春期・青年期精神障害

(1)家庭内暴力
若い男性に多く、以前は、子供から親への暴力が問題になることが多かったですが、最近は、恋人や奥さんへの暴力、親から子供への暴力(幼児虐待)が問題になることが多くなっています。
家庭内暴力は、登校拒否(出社拒否)→自宅(自室)への引きこもり→「自分がこうなったのは、親のせいだ」という妄想的責任転嫁→父母への暴力、多額の金銭の要求、浪費癖、暴君化という流れをたどります。
(2)ひきこもり
最近、若い世代で増えています。かつては、スチューデントアパシー(学生無気力症候群)とも呼ばれていました。神経が繊細過ぎたり、真面目過ぎる人が、対人関係に疲れ、現代社会に不適応を起こしている状態だと考えられます。
(3)不登校
1999年、小中学生だけで13万人を越えたと言われます。精神科疾患のために起こる場合、家庭環境に問題があって起こる場合もありますが、学校教育そのものに問題があって起きている場合がほとんどではないかと思います。学校教育のあり方が根本から問い直されていると考えるべきだと思います。

8.心身症

心理的な原因で起こる身体の障害です。ストレスによって起こる胃潰瘍も心身症の一つです。
(1)過敏性大腸症候群
おならが多かったり、腹痛、下痢と便秘を繰り返す。
(2)書痙(しょけい)
人前で字を書く時、手が震える。

9.児童期精神障害

脳の器質的疾患が原因であったり、精神科疾患が基底にある場合もありますが、両親が抱える心理的な問題によって引き起こされることが多いです。
チック、夜尿症、吃音(どもり)、多動児(注意欠陥/多動性障害)、自閉症、選択性緘黙(かんもく)→特定の場所だけで話すことができなくなる状態

10.老年期精神障害

老年痴呆の他に、夜間せん妄、幻覚妄想状態、躁状態、うつ状態などがあります。
(1)老年痴呆
アルツハイマー型老年痴呆、脳血管性痴呆、初老期痴呆などに分類されます。知的機能の低下のために、健忘、記名力低下、迷子、徘徊、不潔行為、衝動行為、屎尿失禁などをきたします。
(2) 夜間せん妄
興奮と幻覚、妄想、失見当識(時とか場所が解らない)などを夜間にきたす状態です。
(3) 幻覚妄想状態
「誰かが部屋に入って来る」「子供がいる」というような幻覚、「物を盗られた」という物盗られ妄想、嫉妬妄想がよく見られます。
(4) 躁状態
易怒、不機嫌、衝動的暴力行為などが見られます。
(5) うつ状態
便秘など身体症状にこだわり、心気症的になることが多いです。ひどいうつ状態では、痴呆症との鑑別が困難な場合があります。

参考:心の健康法


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