心って何?

心とは何か、現在の科学レベルでは、十分に解明されていません。脳の働きと関係していることは確かですが、「私」という心が、脳のどの部位に存在するのか、脳の局所機能がどのように統合されて、心が形成されているのか、実際のところ、ほとんど解っていません。魂という現代科学では解明できない未知の存在が、心の本質なのかもしれません。心は、人類にとって未開の領域です。

21世紀には、心の探求がもっと進むだろうと思います。心の探求が進めば、人類はもっと豊かになるだろうと思います。現代社会が抱える問題、歴史上のほとんどの事件は、人間の心が生み出したものだからです。心がもっと解明され、人類が全体として精神的に成長していけば、世界はもっと住みよいものになるだろうと思います。

1.心のモデル
心は、外界からの入力に反応して、何らかの反応が出力される一種のブラックボックスです。外界からの刺激、および心の内界からの衝動や欲求に反応して、思考、感情、行動などが出力されます。しかし、心は、単なる「刺激ー反応系」ではありません。記憶を蓄積することによって、心の構造と機能は変化していきます。成長していくということが、心の最大の特性です。(図1)

図1 ブラックボックス

心の健康

2.成長という課題
悩みを抱えて苦しんでいる人は、心の成長という観点から、自分が抱える問題を見つめ直してください。人類は全体として成長しつつあり、個々の人間もそれぞれの人生において成長過程にあります。あらゆるストレスや悩みは、心を成長させる糧です。あらゆる心理的、身体的な症状は、心の奥深くから贈られてくるメッセージです。そういう観点に立って、自分が直面している問題を見つめ直してください。

心の成長過程は、決して安易な道のりではありません。自分を待ち受ける外界の試練や自分の中の「内なる敵」と対決することによって、心は鍛えられ、成長していきます。
ただし、一人で背負いきれない苦しみを抱えている人は、家族や友人、精神科医やカウンセラーの力を借りてください。人は一人では生きていけません。誰でも、他の人の助けを必要とする時があります。嵐の時には、雨宿りする場所が必要です。
完全な自立、すなわち自分一人の力で生きていけるようになることは、目指すべき目標ですが、達成すべき課題ではありません。人は誰も、多くの人と支え合って暮らしているからです。

3.個人と環境
個人と環境は、一体として存在しており、互いに影響を及ぼし合っています。(図2)自分だけが良くても、周りの環境が悪ければ、心の健康を保つことが困難になります。身体の健康に関しても同じです。ですから、自分も良くなり、周囲の環境全体も良くなることを目標にする必要があります。個人的な心の成長と環境全体の成熟、個人的な幸福と環境全体の幸福を同時に追求していく必要があります。

図2 個人と環境

心の健康
心の健康

4.意識と無意識
心は、意識と無意識に大きく2つに分けられます。(図3)
意識とは、「私」という主体、心全体の内、自分自身が認識できる部分です。無意識とは、自分の意志と無関係に働いている部分、意識の力では制御することも認識することもできない部分です。
意識の中心を自我と呼びます。自我の働きは、「外界を認知し、判断し、思考し、意志決定し、行動し、その行動を制御すること」です。

無意識下には、過去の記憶、知識、イメージ、信念群、さまざまな性格傾向、さまざまな欲求、人類全体が共通して抱える課題や行動パターンなどが蓄積されています。無意識の奥深く、心全体の中心には、自己(セルフ)が存在すると考えられます。自己(セルフ)は、自分らしさの中心、個性の核です。

図3 意識と無意識

心の健康

5.心の統合
心が安定するためには、心の中に存在するさまざまな要素が統合され、心全体が一つにまとまって機能することが必要です。心の中には、さまざまな要素が存在しています。その中には、善と悪、理性と本能的欲求、優しさと厳しさ、理想主義と現実主義など、対立する要素が多数含まれています。心を統合するためには、そのような対立する要素間の葛藤を調和し、両者のバランスを保たねばなりません。そして、心の中に存在するあらゆる要素を「自分」という人格の中に取り込んでいかなければなりません。

心を統合するためには、統合の中心が必要です。一つの価値観、信念、欲求などが、統合の中心になります。心が最も安定するのは、自己(セルフ)を中心に統合された場合です。すなわち自分らしさという中心軸を中心にして、心の中のあらゆる要素が統合された場合です。

6.受容
心を一つに統合するためには、心の中に存在するさまざまな要素を受容し、「自分」という人格の中に取り込んでいかなければなりません。心の中には、さまざまなマイナスの要素が存在します。悪の衝動、エゴイズム(利己主義)、欲望、冷酷さ、ずるさ、弱さなどです。自分が抱えるマイナス面と直面し、それらを受容することが、心を統合していく際の最大の試練です。

7.抑圧と解離
多くの人は、幼少期から知らず知らずの内に、さまざまな要素を抑圧したり、解離したりしています。抑圧とは、受け入れられないものを無意識下に封じ込めることです。解離とは、受け入れられないものを人格から切り離すことです。抑圧されたり、解離された要素は、自分の内から自分自身を攻撃する「内なる敵」になります。

非常に幸運な幼少期を送った人だけが、そのような要素をもたずに成人することができます。そのような人は、たいてい精神的に非常に健康です。しかし、そのような人が成人した後も、心の健康を保ち続けられるかというと、そうとは限りません。現代社会は、社会自体が病んでいる部分があるので、精神的に健康な人や純粋な人ほど苦痛を感じざるを得ないからです。

8.自分探しの旅
「なぜ生きているのか」「何のために生きているのか」そのような究極の問題に直面して、悩んでいる人がいます。そのような問題に対しては、現在の科学レベルでは答えを出すことができません。
私は、自分らしい生き方を模索しながら、自分なりの答えを探す過程が人生ではないかと考えています。人は誰も、自分探しの旅をしている旅人だと思います。

自分探しの旅、すなわち「自分とは何か」「自分らしさとは何か」を問い続けながら、自分らしい生き方を模索していく過程において、最も重要なことは、内なる敵と対決することです。自分探しの旅をはじめた時に、最初に出会うのが、それまで抑圧されたり、解離されていた心の中の要素です。自分の中に潜んでいる暗黒面と出会い、それらと対決することが、自分探しの旅の最初で、最大の試練です。

しかし、あらゆる試練は、心を成長させるための糧です。苦しみや不安から逃げようとせず、それらと直面し、対決することが大切です。ほとんどの場合、しっかりと見すえさえすれば、非常に恐ろしいもののように感じられていたものが、実はたいしたものではないと解ります。不安や恐怖の大半は、自分自身が作り出し、増幅したものです。本当は、恐れるものなど何もないのです。あるとすれば、自分の弱さだけです。

毎日毎日が、自分の成長過程であり、自分探しの旅の道中です。「自分がどのように生きたいか」を真剣に考え、イメージを頭の中に描いてください。頭の中に思い浮べたイメージは、不思議な力で実現していくと言われます。プラス思考で、楽しく明るい未来をイメージして、それを実現するために努力してください。

参考:心の健康法


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