2010年8月26日 -- 心の病 --

自分に暗示 緊張ほぐす…自律訓練法

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自律訓練法を指導する村上正人さん(右)(東京都板橋区の日大板橋病院で)=若杉和希撮影

 疲れがなかなか取れない。寝るときに妙に頭がさえてしまう。そんな人は、もしかしたら体と心が緊張しているのかもしれません。「自律訓練法」を試してみてはいかが?(山口博弥)

 自律訓練法は、決まった言葉で自分を暗示にかけ、体をリラックスさせて心の緊張も解いていく手法だ。1932年、ドイツの精神科医シュルツが心理療法の一つとして体系化した。

 体の病気にストレスが深くかかわっている心身症の患者の治療法としてよく使われるほか、職場の健康管理や学校での集中力強化に使われることもある。

 日本自律訓練学会の副理事長で、日大板橋病院(東京都)心療内科科長の村上正人さんによると、▽疲れが取れやすくなる▽気分のイライラや衝動的な行動が減る▽体の緊張や痛みが和らぐ▽よく眠れる――などの効果が得られる。手順は、別表の通りだ。

 姿勢は、あおむけに横たわるか、座る。背もたれのあるソファなら深く腰掛けて楽にし、背もたれのないいすなら、頭を自然に前に垂らす。両手は太ももの上に置き、目は軽くつぶる。

 まず、息を吸う時におなかが膨らみ、吐く時にへこむ腹式呼吸をしながら、心の中で「気分が落ち着いている」と繰り返す。準備段階にあたり、背景公式と呼ぶ。公式とは、誰でもできる標準的な手順のことだ。

 次は、体の重さを感じる第1公式。心の中で静かに「右腕が重たい」と繰り返し、腕の重さを感じる。腕の重さにさりげなく集中することで、次第に重く感じられてくる。

 重さをしっかり感じたら、今度は左腕、右足、左足で同様に行う。終わったら、次は温かさを感じる第2公式へ進み、順番に第6まで続ける。初心者は第1と第2だけでもいい。

 注意したいのは、使う言葉を「重たくなる」にしないこと。これだと「重たくしよう」と働きかける意識が生まれ、かえって緊張しやすい。あくまで「重たい」「温かい」と、ありのままの状態を感じるのがコツだ。

 最後の「打ち消し動作」は、そのまま眠る時を除き、必ずやること。これをせずに日常生活に戻ると、だるさが残ってしまうからだ。

 心臓に不安を感じる人は、第3公式は省く。身体、精神を問わず、病気の症状が重い急性期の時は、症状が悪化することがあるのでやってはいけない。

 人は緊張すると、脳に血流が集まり、手足が冷える。自律訓練法をすると手足など末梢(まっしょう)の血流が増え、自律神経のバランスが整うという。研究では、免疫機能も整い、心が安定した時の脳波のアルファ波が増えることも分かっている。

 村上さんは「特別な道具もいらず、1人でどこでもできるところが長所。緊張しすぎず、緩みすぎず、適度な緊張状態を保つことができます」と話している。

日本自律訓練学会
 自律訓練法の正しい普及や教育、研究を目的に、1978年に設立された。ホームページ(http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsat/)には、認定医(士)や専門指導医(士)のリストがある。

2010年8月19日 読売新聞)

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