サヘルとフローラ ・後編 (上)
サヘル・ローズは、小学校、中学校とずっといじめられてきた。高校に入っても、またいじめられるのではないかと思い、いつも1人でポツンとしていた。
ある日、教師からこう言われた。
「どうして自分から話しかけないの。せっかくいいキャラクターをもっているのだから、それをもっと出しなさい。自分らしく生きなきゃダメ。世の中の全員があなたを好きになるということはありえない。でも、1人でもあなたを好きになってくれる人がいればいいんです」
サヘルはハッとしたという。この教師の一言は効いた。必要以上に怖がることもない。こびることもない。うらやむことも、憎むこともない。素の自分を出せばいいんだと気づいた。
自分を変えたいと思うとき、あこがれの人をモデルにする方法もある。でも、背伸びせずに、素の自分を受け入れることも大事だ。素の自分のなかには、自分で気がつかない、いいところがあるはず。それを探せばいい。教師の一言は、サヘルに勇気を与えた。
「正直、私は暗い性格で友だちもいません。でも、この高校では明るくなりたい。みんなと話したい。そして、たくさんの友だちをつくりたい。楽しい学校生活を送りたいです。よろしくお願いします」
新入生交流会で、怖がらずに素直な気持ちをぶつけた。しばらくして、はじめて何人かの友だちができた。
- プロフィール
- 鎌田實 かまたみのる
- 誕生日:1948年6月28日
- 諏訪中央病院名誉院長
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