言葉が届くと、行動が変わる (下)
諏訪中央病院の緑の庭に立つ鎌田實。医療でも、広告の世界も、言葉をどう伝えるかが行動変容のカギを握る。
ぼくの仕事は、一人の患者さんを診察し、治療と並行して、生活習慣や考え方を変えてもらうように、言葉で刺激を与えていくことだ。そのとき、患者さんにベネフィットを示してあげることができれば、行動変容の成功率は高くなる。
患者さんにとってのベネフィットとは、病状が改善していることを示す検査データであったり、症状が軽くなったという患者さん自身の実感だったりする。
でも、厳しい状態にある患者さんもいる。目先のベネフィットを示してあげられないことも多い。そんなときは、治療の先にある、その人の夢や目的がかなうように、応援している。それが、患者さんにとってのベネフィットとなると信じているからだ。
人はどんな状況に追い詰められても、望む方向に顔を向け、耳をそばだてている。そのときに、その人が本当に聞きたい言葉とは何かを真剣に考えぬくこと。それが「伝える技術」のスタートラインではないだろうか。
山本さんの広告という仕事と、住民の健康を守るぼくの仕事には、共通する点があると思った。
- プロフィール
- 鎌田實 かまたみのる
- 誕生日:1948年6月28日
- 諏訪中央病院名誉院長
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