言葉が届くと、行動が変わる (中)
「だれもが言葉を使うのに、大切なことを伝えていない。伝えるには、技術がいるんです」と言う。
伝える技術。なるほど。言葉を相手に届けるには、どう伝えるかが問題だ。それはたしかに「技術」だ。相手にわかってもらい、さらに行動変容を起こしてもらうには、どんな「伝える技術」が必要なのだろうか。
山本さんは、ベネフィットが大事だという。広告でのベネフィットとは、その商品を買うと「こんないいことがあるよ」ということ。それは、その商品を通して便利になったり、幸せになったり、新しい価値観を持ったりすることだ。
「変われるって、ドキドキ」というコピーは、2000年にカローラがモデルチェンジしたときのものだ。北野たけしさんが「変われるって、ドキドキするよ、やってみなよ」というメッセージを送った。
クラウンやベンツを売ろうとしているわけではない。1960年代、高度経済成長を一生懸命働いて支えてくれた世代の人たちに、まだ変われるよ、しかも、それはドキドキするよと訴えた。それが、あの時代に歓迎された。
10年後の今、同じことを言ったらどうだろうか。かつてのような評価は、望めないように思う。不安の多い時代、もう変わるのはたくさんだ、安定がいちばん、となってしまうかもしれない。あの時代だったから、成功したのだ。
そうか。広告はマスに発信しているように見えて、実はある時代の、ある人たち、という狭いターゲットにあてて、ベネフィットを提案しているのだということがよくわかった。(次回に続く)
- プロフィール
- 鎌田實 かまたみのる
- 誕生日:1948年6月28日
- 諏訪中央病院名誉院長
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