中高年の登山
(3)夏山でも低体温症対策
北海道・トムラウシ山(2141メートル)で昨年7月、登山者9人が死亡した遭難事故。全員が中高年で、低体温症に見舞われていた。
夏山でも低体温症は起こりうる。日本登山医学会理事で了徳寺大学教授の増山茂さんは「体がぬれ、風にあたり、疲労していることが、低体温症を引き起こす」と指摘する。
死に至る危険な低体温症は、毛細血管の収縮から始まる。次に起きるのは「震え」。いずれも体の深部の体温を保とうとする仕組みだ。ところが、中高年はこの反応や働きが鈍っている。体の熱を保持する力が衰えているため、やがて意識が失われて呼吸停止に陥るわけだ。
危険を回避する鉄則は「体をぬらさない」「風を避ける」「疲れすぎない」。さらに保温用の適切な衣類を選ぶことが大切だろう。
とりわけ一番外側、一番内側に何を着るかが重要。寒い時に外側に最適の服はゴアテックス素材のレインスーツの上下だ。防水機能に加え、体から発する蒸気も外に逃がしてくれる。一番内側には、汗を繊維の中にとどめず発散させる登山用の肌着がよい。その間にはフリースや薄手のダウンジャケットなどを着込む。
暑い時には汗をかかないようこまめに着たり脱いだりしよう。血流が妨げられるほどきつい衣服は避けたい。緊急時の備えでは、熱の放射を防ぐアルミブランケットのほか、簡易テントをパーティーに一つ用意しておくといい。(梅崎正直)
(2010年7月24日 読売新聞)


