滝行体験…痛さ・冷たさ、悩み打破
滝の水を浴びる
「癒やされたくて来ました。気持ちよかった」
千葉県浦安市の会社員女性(25)が、屈託ない笑顔を見せた。東京都青梅市の武蔵
この滝行、数年前に手軽な「プチ修行」の一つとしてマスコミで紹介され、体験する会社員らが増えた。指導する寺・神社や宿坊(参拝者向けの宿)は、国内に少なくとも20か所はある。冒頭の女性が参加した宿坊「静山荘」の滝行体験では昨年、約1000人が滝に打たれた。
指導した同神社神職の橋本
「占いや神秘的な力があるとされるパワースポットなど、スピリチュアル(霊的)なものへの興味の延長で、滝行にひかれる人が多いようだ」と話す。
浜松医大名誉教授(脳生理学)の高田明和さんによると、あれこれ考えるのをやめ、自分の体に意識を集中すると、不安や痛みをつかさどる脳の「
「座禅で呼吸に集中するのは難しいが、滝が体を打つ痛さや冷たさなど強い刺激には意識を集中しやすく、悩みから解放される効果が高いのでは」と言う。
新潟青陵大学教授(社会心理学)の
米の学術雑誌「サイエンス」では最近、手洗いをした人は、しなかった人より、「自分の選択は正しかったのか」という迷いが少ない、という心理実験の結果が掲載された。「洗い流す」という意味では、滝行にも同じ効果があるのかもしれない。
ただし、滝に勝手に入るのは危険。指導者がいる場所で行うようにしたい。体調が良くない時には無理は禁物だ。
| 滝行 |
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| 古来の宗教である修験道などで行う修行の一つ。神仏に祈願したり、本格的な修行に入ったりする前などに、身心の汚れを払うために行われている。 |
水温14度の「修行」
「綾広の滝」に打たれる記者。予想以上の衝撃に必死で耐えたが……(6日、東京都青梅市で)=和田康司撮影
7月6日、綾広の滝。記者も滝行に挑戦した。
冷たそうで帰りたくなったが、白いふんどし、はちまき姿に着替えた。準備運動の後、橋本薫明さんから「滝に打たれるのは3回。1回目は外のけがれ、2回目は内のけがれ、最後に水と一体 になるイメージで」との説明。覚悟を決めた。
滝の高さは約8メートル。教えられた通り、「エイ!」と声を上げ、水が落ちてくる岩に背中を付けた。
1、2回目は10秒。3回目は20秒。水温は14度で、冷たい。うまく息ができない。滝から離れた途端、ひどい頭痛に襲われた。冷たさに耐えるため首と肩を縮めていたのが、良くなかったらしい。
「頭が痛くなる人もたまにいる」と橋本さん。記者にとって、滝行は紛れもなく「修行」だったが、下界でどうしても忘れたい、つらい出来事があったら、また来ようと思った。
(2010年7月15日 読売新聞)


