2010年7月 7日 -- 心の病 --

うつ病の運動療法…速歩きで気分も弾む

  • Google Bookmarks
  • Yahoo!ブックマーク
  • はてなブックマーク
  • del.icio.us
  • livedoor クリップ
  • POOKMARK Airlines
  • ニフティクリップ
  • Buzzurl
  • newsing it!

ゆっくり歩きと交互に

「インターバル速歩」の速歩きは、大またでかなり速い。左は指導する院長の鈴木宏さん(東京都文京区で)=三輪洋子撮影

 適度な運動で汗を流し、気分もすっきり! 運動が心に及ぼすこうした効果は、うつ病の患者にとっても例外ではないようです。うつ病の運動療法を取 材してみました。(山口博弥)

 東京・巣鴨の「青葉こころのクリニック」。院長の鈴木宏さん(39)は、希望するうつ病患者に運動療法を指導している。2004年までの11年 間、医師とプロキックボクサーの二足のわらじをはいた、異色の経歴を持つ精神科医だ。

 欧米には、運動がうつ病を改善する効果を示す研究報告が多い。

 近年の研究によると、〈1〉うつ病患者の脳や血液では、神経細胞の成長を促し、情動などを制御するたんぱく質「BDNF(脳由来神経栄養因子)」 が減っている〈2〉BDNFは運動で増える――ことが研究で分かっており、強度が高い運動の方が効果が高い、とされる。

 そこで鈴木さんが取り入れたのが、信州大学医学部スポーツ医科学講座が開発した「インターバル速歩」。速歩きとゆっくり歩きを交互に繰り返す運動 法だ。

 週に合計60分の速歩きを目安に、体力に応じて組み合わせる。たとえば、朝に速歩き3分とゆっくり歩き3分を交互に3回ずつ。昼に速歩き2分と ゆっくり歩き1分を交互に3回ずつ。これで速歩きの合計は1日15分になり、週に4日やれば60分になる。

 速歩きのコツは、背筋はまっすぐに、視線は遠く。歩幅は大またで、肩の力を抜き、ひじは後ろに大きく振るよう意識する。息が弾み、「ややきつい」 程度にまでスピードを上げる。

 後日、記者も自宅近くの道路で挑戦。3分間の速歩きは、ジョギングより足腰の筋肉が疲れることに驚いた。でも、ゆっくり歩きを間に挟むことで疲れ が回復し、速歩きを続けられた。

 30歳代の女性は、昨年秋から眠れなくなり、元気がまったく出なくなった。病院の精神科で、うつ病と診断され、抗うつ薬と睡眠薬を処方された。し かし、「薬を飲まずに治したい」と同クリニックを受診、インターバル速歩を始めた。

 もともと運動習慣がなく、初めは外に出るのもおっくう。それでも徐々に歩けるようになり、気持ちも上向きに。今では苦手な家事もこなせる。「効果 は予想以上でした。これからも続けたい」と話す。

 「場所も選ばず、道具もいらない。健康な人のうつ病予防にも役立つ運動です」と鈴木さん。

 ただし、運動療法の対象は、軽症から中等症のうつ病患者。重症の患者は対象にはならない。また、抗うつ薬と併用する場合も多く、薬物療法を否定す る治療法ではない。運動をやり過ぎると、うつ病がかえって悪化することもあり、試してみたい患者は、主治医に相談することが大切だ。

うつ病への運動の効果を示す研究の一例
 米国で、うつ病患者156人を〈1〉抗うつ薬だけ〈2〉有酸素運動だけ〈3〉両方を併用――の3グループに分けて16週間治療した結果、いずれ も6割程度の人のうつが改善した。再発率は〈2〉が最も少なかった。

2010年7月1日 読売新聞)

健康を応援する健康情報館のトップページへ