2010年5月19日 -- 癌 --

がんに負けない10カ条

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日ごろから、がん予防のために野菜を食べることを心がけている鎌田。サミットが行われたウインザーホテル洞爺の三ツ星レストラン「ミシェル・ブラス トーヤ ジャポン」では、なんとサラダ1皿で、70種類の野菜を味わえるという。

 毎日約5000個の細胞が体内でがん化しているという。細胞は絶えず新陳代謝を繰り返している。DNAが複製される際に、傷がつくときがある。だが、そのままがんになるわけではない。傷ついた細胞は細胞じたいが自死するように設定されている。この仕掛けをアポトーシスという。たとえアポトーシスをたくみにすり抜けても、免疫細胞によって破壊され、食べられる。こうやって体は、がんになるのを防いでいる。

 がん化を誘発するものが、ある程度、わかってきた。その一つはウイルス。たとえばC型肝炎ウイルスは、慢性肝炎や肝硬変を起こすだけでなく、肝臓がんの原因となる。

 細菌もがん化を起こすといわれている。ピロリ菌は、感染した人すべてが胃がんになるわけではないが、喫煙や塩分の摂りすぎなどの条件が加わると胃がんのリスクを高めることがわかってきた。

 放射線もDNAの複製時に傷をつける一つのリスクファクターになる。白血病や骨肉種、肺がんを起こすといわれている。

 たばこに含まれる化学物質は、肺がんの原因となる。それだけでなく、食道がんや大腸がんなどでも、喫煙者のほうが圧倒的にリスクが高いといわれている。

 これをすれば、がんにならないという方法はない。しかし、毎日の生活から、がんの危険因子となるような生活習慣を取りのぞくことはできる。がんに負けないために、「行動変容」を起こすことが大事だと思う。

 鎌田流10か条を紹介しよう。あくまでも鎌田流だが、ぼくは内科外来でこんな生活指導をしてきた。

第1条 まずは禁煙
 日本は先進国のなかでは禁煙率が非常に低い。一度、喫煙習慣がついてしまうとなかなかやめられない。1箱400円のたばこを1日1ケース、20~70歳までの50年間毎日吸い続けると、730万円の支出になる。たいへんなお金だ。
 たばこ税が値上げされる。このときを逃さず、禁煙のきっかけにするといい。行動変容はタイミングが大事だ。

第2条 アルコールは「いい・加減」で
 アルコール多飲者は、肝臓がん、食道がん、胃がん、大腸がんなどのリスクが高い。適量が大事。日本酒に換算すると2合までを一つの目安にすること。

第3条 肥満の程度は「ちょい太」までに
 肥満は、前立腺がんや乳がん、子宮体がん、大腸がんなど、ホルモンに影響を受けるがんと関係している。鎌田理論ではBMI27までを「ちょい太」と考えている。27以上の「おお太」はダメ。24~27の「ちょい太」くらいにおさめたい。ときどきおいしいものを食べ、幸せを感じたほうが、行動変容は長続きする。人生を楽しんで悪いことはない。

第4条 薄味を「我が家の味」に
 胃がんは、塩分の摂取量と密接に関係している。日本が世界的な胃がん多発国であったのは、日本食に塩分が多いことと関係がある。冷蔵技術が進歩して、塩蔵食品に頼らなくてもよくなってきたため、日本人の胃がんの発生率は少しずつ減ってきている。
 薄味で育った子は、薄味をつくる大人になる。習慣は代々つながってしまうもの。自分の子や孫たちを、胃がんや脳卒中から守るために、あなたの代から薄味へと習慣を変えよう。

第5条 抗酸化力のあるものを食べる
 細胞のがん化は、フリーラジカルという物質が関係している。それを防ぐには、抗酸化力の高い食べ物をとるとよい。ベータカロテン、リコピン、アスタキサンチンなど、野菜や魚に含まれる色素には抗酸化力がある。

第6条 薬味を見直す
 アメリカの国立がん研究所は、がんになりにくいデザイナーフーズを発表している。代表的なものにニンニク、キャベツ、ショウガがある。なかでもショウガがおすすめ。アディポネクチンの分泌をよくし、生活習慣病も予防してくれる。さらにデトックス効果がある。すぐれた薬味、ショウガを見直そう。

第7条 食物繊維もたっぷり
 食物繊維が多いと大腸がんの予防になる。野菜、きのこ、海草をせっせと食べるように心がけよう。リコピンたっぷりのトマトと、繊維の王様・寒天を合体させたトマト寒天は鎌田家の定番メニュー。

第8条 母乳で育児
 授乳期間中の女性には、できるだけ出生後半年間の母乳の授乳をすすめたい。母乳を与えたお母さんは、将来、乳がんのリスクを下げるという報告もある。

第9条 運動習慣を身につける
 適度な運動は、生活習慣病の脳卒中や心筋梗塞を防ぐために有効だが、がんの死亡率を下げたり、がんになりにくくしてくれる。がん予防と運動なんて関係なさそうだが、意外なことに科学的根拠があるのは運動なのだ。毎日の散歩やスポーツはいい習慣。鎌田流インターバル速歩や、がんばらないスクワットを、がん予防のためにおすすめしたい。

第10条 よく笑い、よく泣く
 笑うことや泣くこと、感動すること、ほっとすることが、体の免疫能をアップさせてくれる。我慢して感情をため込むと、ストレスになる。楽しいときは笑い、悲しいときは泣き、納得できないときはきちんと表現することが大事。性格は簡単には変わらないが、行動パターンは変えられる。Yes,we can!

 この10カ条のすべてでなくても、できるものから実行するとよいだろう。自分の生活習慣を見直すことで、生活の問題点や偏りが見つかり、自ら「行動変容」を起こしやすくなる。


プロフィール
鎌田實さん
鎌田實 かまたみのる
誕生日:1948年6月28日
諏訪中央病院名誉院長
詳しいプロフィールはこち ら

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