2010年4月29日 -- 糖尿病 --

食事療法も運動療法もやっているのに・・・

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 以前、糖尿病の親子3人の事例を通して、食事療法と運動療法を続けるための「行動変容法」を紹介した。コメントで、食事療法も運動療法もやっているのに、うまくいかない、どうしたらいいか、という質問がいくつか寄せられた。今回は、その質問に答えたいと思う。

 [山さん]さんは、血糖値が高めで、医師に摂取カロリーの制限と運動療法をすすめられ、実践すると6キロも体重が減ってしまった。ズボンがゆるゆるになり、カロリー制限を続けることに疑問を持っているという。

 [山さん]さんの適正体重が何キロなのかわからないが、6キロやせて、血糖値がほぼ正常値だと仮定すれば、カロリー制限を少し緩和するのも方法だと思う。

 目標体重=「20歳のころの体重」と表現するドクターもいるが、少しあいまい。20歳のころに肥満の人もいる。肥満を正確に捉えることはできないが、BMIがある程度、目安になる。

 BMI=体重(キロ)÷身長(メートル)÷身長(メートル)

 理想体重はこの値が22とされる。だが、多くのデータから、24~26の「ちょい太」くらいが長生きできるとわかり、ぼくは以前から「ちょい太」をすすめている。25を超えると、日本では肥満となるが、少しなら大丈夫だ。

 BMIで目標体重を調べ、それと比べて、現在の体重がやせすぎならば、摂取カロリーをためしに10%ほど増やしてみるとよいと思う。そして、体重を計りながら、摂取カロリーを加減してみるといい。

 糖尿病のコントロールには、食事療法と運動療法が大切だ。今後も、ちょうどいい摂取カロリーを探しながら、運動療法も続けていくことが大切だ。

 若年型糖尿病と31年間付き合ってこられた[ゆみち~]さんは、転院によりインスリンが変わり、ヘモグロビンA1cがじわじわ上がってしまったという。

 転院前はヘモグロビンA1cが6%台だったことを考えると、転院後に使ったインスリンが合っていない可能性がある。

 インスリンならなんでも同じ効果が出るわけではなく、薬の種類によって効き目の強さも作用時間も微妙に異なる。インスリンの種類、量について再検討が必要だと思う。ほかの病院でセカンドオピニオンを受けてみてはどうだろうか。

 コレステロールの薬についての疑問も寄せられた。[ピアノ]さんは、総コレステロール値が280と高い。食事制限と運動療法だけでは限界があり、医師から薬をすすめられている。だが、薬を飲むことに抵抗があるようだ。「コレステロールと嘘とプロパガンダ」(ミッシェル・ド・ロルジュリル著、篠原出版新社)によると、高コレステロール値は長寿の指標と言い切っている。コレステロールは下げなくてもいいという考えもある。

 ぼくは、高脂血症の薬をできるだけ使用しないドクターの一人だが、総コレステロール値280以上の場合、そのまま放っておくわけにはいかないと考えている。家族性高脂血症に対しても治療は必要と思っている。

 ぼくは、260までなら、食物繊維の多いものを食べるなど食事療法を行い、運動療法をするのがいい方法だと思っている。

 日本では、正常値は220以下となっていたが、この基準は世界的に比べると、厳しすぎた。日本は、世界のなかでも抗高脂血症の薬がよく売られている国といわれている。コレステロールが少し高いほうが、長寿というデータはいくつもある。最近、高脂血症の診断には総コレステロール値を使わずに、LDLコレステロールやHDLコレステロールが使われるようになった。

  [健康マニアのmicky]さんも、悪玉といわれるLDLコレステロールが高く、医師から薬をすすめられている。

 一般に中高年の女性のなかには、運動療法も食事療法もしているのに、なかなかコレステロール値が下がらない場合がある。女性ホルモンのエストロゲンが減ってきているためだ。

 薬を飲むかどうかのぼくの判断は、前述したとおりだ。[健康マニアのmicky]さんの総コレステロール値はわからないが、260を超えなければ、食事療法と運動療法をまず行おう。まず脂質や肉、卵を減らして、コレステロールが下がらないかトライしてみてほしい。

 食事では、野菜や海藻類、きのこ類など繊維の多いもの、肉より魚をとるように心がける。

めん類なら、うどんよりそば。血糖値が急激に上がらない低GI 食品を選ぶのも方法。

 それでも効果が出ない場合は、糖質制限という手がある。もちろん、糖を完全に断つことはできない。摂取する糖は、血糖値の上昇が遅い「低GI食品」を選ぶとよい。たとえば、白米より玄米、うどんよりそば、白い小麦粉より全粒粉のパンがいい。

 高脂血症の食事療法に、なぜ糖質制限がいいのか。糖質と脂質を比べると、糖質のほうがエネルギーとして使われやすい。そのため、糖質をとると、先に糖質代謝が起きて、脂質代謝が起こりにくい。そのため、糖質を制限すれば、脂質代謝が行われ、脂質がエネルギーとして燃やされるため、コレステロールは減りやすくなる。

 ぼく自身も、ぜいたくな食事が続き、体重が増えたときには、1週間ほど糖質制限をする。白米を食べない。すると、体重が3キロくらいは落ちて、コレステロール値も下がってくる。

 どんな方法が自分に合うのか、血液データや体重、体調をモニターしながら、探してもらいたい。

 糖尿病や高脂血症、高血圧、肥満など生活習慣病を改善するには、生活に「行動変容」を起こせるかどうかがカギを握っている。

 ただし、どんな方法にも限界がある。薬の力が必要な場合は、主治医とよく相談し、治療していくことをおすすめする。

 大切なのは継続。がんばりすぎないで、がんばっていきましょう。


プロフィール
鎌田實さん
鎌田實 かまたみのる
誕生日:1948年6月28日
諏訪中央病院名誉院長
詳しいプロフィールはこち ら

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