無視できない食事の好み
ぼくの好きな駒ヶ根のソースカツ丼。糖質制限か、カロリー制限かによって、食べ方がまったく違う。
前回、糖質制限で糖尿病をコントロールしている社長の三男の話を紹介した。だが、糖質制限は、すべての人に効果があるわけではない。落とし穴がある。
三男の兄である長男も糖尿病だった。24日に書いた父親と三男に比べると、いちばん軽かった。しかし、長男は人がよいのだが、意志が少し弱いところがあり、ストレス解消のため食べてしまうということを繰り返ししていた。ヘモグロビンA1cを5.9以下にコントロールしたいところを6.6~6.7を行ったり来たりしてしまう。糖尿病は軽いはずなのに、グッドコントロールとまでいかない。まあまあの状態がずっと続いていた。運動が嫌いというのも、その一因と思われた。
三男が糖質制限で成功したため、長男も糖質制限に興味をもった。
糖質制限では、てんぷらの衣を食べないようにすれば、てんぷらでもOKである。トンカツも、衣をはずし、糖が入っているソースはやめて、しょうゆや辛子で食べればいい。キャベツをたっぷり食べればなおいい。
ここでやめておけばいいのだが、長男は、ついついご飯に手を出してしまった。
焼き肉も焼き肉とスープで終わればいいのであるが、ついビビンバとかのご飯ものを頼んでしまう。これがよくない。
長男はお米が大好きで、なかなかその誘惑に勝てなかった。一緒に食事をする人がご飯を食べていると、自分もつられて食べてしまうのだ。
こういう人は以外に多い。肉や魚をどんなに食べても、ご飯がないと満足できない。おかずをたらふく食べた後に、ちょっとくらいならご飯を食べてもいいだろうと思って食べてしまうと、血糖が上がってしまう。
定食屋さんに入っても、ご飯を頼まず、おかずとみそ汁だけを食べるというのがいい。けれど、これが難しい人は、糖質制限ではなく、やはりカロリー制限をしたほうがいいと思う。
長男には、1日1600キロカロリーになるように食生活の指導を徹底した。焼肉やトンカツを食べ放題というわけにはいかないが、長男は、何よりご飯が食べられることを喜んだ。
一度はご飯を禁止され、ご飯を食べられないつらさを味わっている。そのため、彼は、ご飯が食べられるならば、ほかのものは我慢しようという決意ができたのである。その意味では、糖質制限の失敗も無駄にはならなかった。カロリー範囲内ならば、甘いものや果物も食べてもいいということも、彼を心穏やかにさせた。
その結果、長男のヘモグロビンA1cは6.2~6.3くらいまで改善してきた。グッドコントロールまで、あと一息である。
「行動変容」を起こすには、それぞれの生活の仕方、好み、性格などを無視することはできない。兄弟でも、同じ方法が有効とは限らないのだ。どんな 方法が、いちばんストレスが少なく、続けられそうか、それぞれが吟味してみる必要がある。
- プロフィール
- 鎌田實 かまたみのる
- 誕生日:1948年6月28日
- 諏訪中央病院名誉院長
詳しいプロフィールはこち ら


