元気に安全運転
(4)認知症 初期でも侮れず
静岡県浜松市の国道で、愛知県の無職男性(当時67歳)の乗用車が約5キロ・メートルを逆走、衝突を避けようとした別の乗用車2台が相次いで中央分離帯に衝突した。軽いけが人1人を出しただけで済んだが、男性は認知症で家族から運転を止められていたらしい。2005年6月のことだ。
認知症患者の6人に1人が何らかの交通事故を起こしたという調査結果もあるほど、認知症患者による事故は問題になっている。警察庁はこうした事故を減らすため、昨年6月から、75歳以上の免許更新希望者に認知症かどうかを調べる試験を義務づけた。年末までに23万7823人が受検、2人の取り消しが決まったという。
認知症ドライバーの問題に詳しい熊本大学の池田学教授は、クルマを運転した時に認知症が疑われる七つのケースを公表(表)。このうち一つでも該当したら、医師の診断を受けるよう勧めている。「初期症状はクルマの運転でも顕著に表れる。周囲が変化に気づいてあげることが大事です」と、池田さんは言う。
東京都老人総合研究所の矢冨直美・研究員によると、認知症の前段階として「軽度認知障害」という時期があり、この時期に低下する機能を鍛えることが予防につながるそうだ。たとえば、〈1〉日記を継続的に書き、「思い出す」行為を意識的に行う〈2〉料理と洗い物など、複数の作 業を同時に進める――といった行為が効果的だという。
加齢や認知症自体に罪はない。しかし、交通事故は加害者、被害者どちらの立場になっても悲劇が襲う。安全運転に向けた努力は、いくつになっても怠らないようにしたいものだ。(高田真之)
(2010年3月6日 読売新聞)


