フルマラソンを走った
(2)脚の筋肉 ゆっくり強化
NAHAマラソンを走る記者をまず襲ったのは、胸のチクチクする痛みだった。「心臓か」とヒヤリとしたが、実は乳首がシャツでこすれて出血していたのだ。ばんそうこうを張っておくべきだった。
20キロを過ぎても息切れはなかったが、両足がパンパンになり、屈伸もできなくなった。太ももは今にもつりそうで、腰が重い。着地の度に、脚全体に激痛が走る。
マッサージを受けられるテントがコース途中にいくつもあり、記者を誘惑する。心の中で「だめだ、入ったら終わりだ」と叫ぶ。沿道の人たちが、鎮痛スプレーを脚にかけてくれる。温かい応援が走る力になった。
レース後半、初心者の多くが脚の痛みに苦しむ。東大教授の石井直方さん(身体運動科学)は、原因について「ランニングは小さなジャンプを繰り返すのと同じ。マラソンはそれが数万回続き、太ももやふくらはぎの筋肉に小さな傷ができる。壊れた筋肉の細胞からカリウムが漏れ出し、神経を刺激して痛みが出る」と話す。
予防には「上下動を抑えて、着地の衝撃を少なくする走り方が有効。下り坂は特に衝撃を受けやすく、初心者はゆっくり走ってほしい」という。
脚の筋肉は、走り込むと衝撃に強くなるというが、簡単な運動でも強化できる。石井さんのお勧めは、太ももとふくらはぎを強化する運動だ。いずれもゆっくり行うのがポイント。
また、福岡大スポーツ科学部教授の田中宏暁さんは、高さ20センチの台(階段1段分)を上り下りするステップ運動を勧める。「1分30回の昇降を1日10分~30分行うと、脚の筋肉がバランスよく鍛えられ、心肺機能も高まる」
市販のステップ台もあり、これならテレビを見ながら続けられそうだ。(佐藤光展)
(2010年2月17日 読売新聞)


