夜勤をのりきる
疲労対策 組織的ケアを
医療や介護、コンビニエンスストアなど、昼夜を問わないサービスは拡大する一方だ。社会が便利になる代償として、深夜から未明にかけて働く人の睡眠不足や慢性的な疲れが課題になっている。夜勤をこなしながら、健康を保つ工夫を紹介する。
厚生労働省の調査では、夜勤や不規則な交代勤務につく人は、労働人口の約4分の1を占める。「人間は本来、心身ともに昼間は活動し、夜は休息する動物。自由に調整できると思うのは間違い」。労働科学研究所慢性疲労研究センター長の佐々木司さんはこう強調する。
人間の体には約25時間周期のリズムが備わっていて、体温やホルモンなどが調節されているからだ。
一日で最も眠気を感じやすいのは、最も体温が下がる午前2時から3時ごろ。この時間帯に夜勤者は緊張しつつ、眠気を抑えて仕事をすることになる。一方、夜勤後にとる睡眠が、活動に適した体温の高い時間帯にくることで、睡眠時間が短縮して質が悪くなり、疲労が回復しにくい。
夜勤者の自由時間は勤務前だから、仕事前に疲れを感じてしまう可能性も高い。家族との生活時間のずれによって生活の質が下がる影響も無視できない。
長期にわたる生体リズムのズレは、肥満や高血圧、循環器の病気のリスクが高いことが分かっている。最近、国際がん研究機関が乳がんや前立腺がんの発症にも関連する可能性を指摘。デンマークでは、元夜勤者のがんを労災認定して話題になった。
「悪影響を減らすには、個人の努力以上に勤務体制の工夫など、組織的な疲労対策が大事だ」と佐々木さんは話す。世界的な対策基準として知られているのが、1982年にドイツのルーテンフランツが提唱した9原則=表=。まずは職場ごとに問題点を話し合ってはいかがだろうか。
(2009年11月3日 読売新聞)


