週5回は魚を食べよう
昨年、ぼくはアイスランドに行った。環境の本を書きたいと思い、北極圏を回ったのである。もう一つ大きな目的があった。アイスランドが男性の長寿世界一になった。日本はアイスランドに抜かれたのである。その理由を、確かめたいと思った。
かつて沖縄は長寿王国であったが、2000年に男性が都道府県別の長寿ランキングで26位に転落した。大正時代からのデータをみると、沖縄はしだいに肉の消費量が増え、魚を食べない県になっていった。現在では、1人当たりの魚の消費量が一番少ない県になった。野菜の消費量も減っている。ファストフード店は全国一多く、外食化も進んだ。
長寿の条件にはさまざまな要因が考えられるが、ぼくは、沖縄の男性26位の転落は、魚を食べなくなったことと関係が深いのではないかと思っている。
アイスランドを訪れてすぐに、魚を食べる習慣があることに気づいた。スカンジナビア半島のバイキングが移住してきたといわれているアイスランド人は、かつて肉食中心の食習慣だったが、牛や羊を飼える気候ではないため、魚を食べるようになった。
魚の食べ方も多様で、日本食を取り入れている感じがした。食堂では、日本のしょうゆを使った焼き魚を出している。刺身を出すレストランもあった。
魚には、EPAやDHAといういい脂が含まれている。EPAは、いわゆる“悪玉”のLDLコレステロールを減らし、いわゆる“善玉”のHDLコレステロールを増やす。DHAは中性脂肪を減らす効果がある。魚をたくさん食べることによって、血液がさらさらになる。血栓をつくりにくくする。結果として脳梗塞や、心臓の冠動脈を閉塞させる狭心症、心筋梗塞を減らす。魚を週5回以上食べる人は、ほとんど食べない人に比べて、心筋梗塞や狭心症などで死亡するリスクが半減しているというデータもある。
EPAは、サバ、キンキ、マグロ、マイワシ、ハマチなどに多く含まれる。DHAは、マグロ、サバ、サンマ、ブリ、ハマチなどに多い。青背の魚がいい。ただし、養殖は抗生物質などの使用薬剤に基準があり、安全性が図られてはいるが、薬剤残留の可能性もゼロとはいえない。ぼくは、海のある地方に行くと、大都市の市場に出ない地元の魚を好んで食べている。これがなかなか旨い。
魚をたくさん食べる人たちはうつが少ないとか、魚をたくさん食べる子はキレる子が少ないという研究データも出はじめている。魚は、肉食よりも精神的バランスを保つことができる成分も含まれているようだ。
健康寿命を延ばすためには、魚を週5回食べることをおすすめする。
〈還暦を迎えた八千代の良ちゃん〉から書き込みをいただいた。ぼくのこの連載の目標は読者に「行動変容」を起こさせること。
あなたは見事にチェンジに成功している。体重を74kgから61kgへ、腹囲を89cmから77cmへ。結果として境界型糖尿病の検査データが正常化している。立派です。
お知らせ11月11日は介護の日。ぼくが代表をつとめる「がんばらない介護生活を考える会」主催のセミナーが東京都港区の「女性と仕事の未来館」で開催されます。
ぼくは講演のほか、ファッションショーにモデルとして出演。認知症の人や障害のある人が着やすいフォーマルウェアや、動きやすく、着脱しやすく、尿器の使用やおむつ交換のしやすい服などを紹介します。
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《今週のチェンジ!》 ランチで何を食べようか迷ったら、魚定食! 料理法に迷ったら、刺身や蒸し焼き、煮魚、オーブン料理がおすすめ。焼き魚はいい脂が流れ落ちやすい。
- プロフィール
- 鎌田實 かまたみのる
- 誕生日:1948年6月28日
- 諏訪中央病院名誉院長
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