2009年9月 2日 -- 癌 --

食道がん 手術前の放射線治療 普及

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早期なら粘膜下層剥離術も

 日本で年間1万1000人余りが死亡する食道がん。飲酒や喫煙による影響が大きく、男性の患者が女性の5倍以上多い。胃がんや大腸がんに比べ再発しやすく、治療が難しいがんの一つだ。

 治療法には大きく分けて、手術、内視鏡治療、放射線治療(主に抗がん剤を併用する化学放射線療法)がある。

 読売新聞は、全国のがん診療連携拠点病院、特定機能病院など計539病院にアンケート調査を実施、318病院から回答を得た(回収率59・0%)。一覧表には、紙面の都合で、手術と内視鏡治療、抗がん剤併用の放射線治療件数の合計数が多かった施設を掲載した。

 がんが粘膜にとどまる早期がんなら、口から管を入れてがんを切除する内視鏡治療でよく治る。従来の方法よりも一度に広い範囲のがんを取れる「粘膜下層剥離(はくり)術(ESD)」は、胃がんに続いて食道がんでも普及しつつある。粘膜表面からやや進んだがんの場合は、一部を除いて手術や放射線治療などが行われる。

 がんが粘膜を超えて進んだ場合は、手術で食道をすべて切除するのが基本だ。食道と周囲のリンパ節を取り、代わりに胃を細長い筒状にし、のどの部分でつなぐ。体の中心を通る食道の周囲には心臓や肺などの重要な臓器があるため、大がかりで難しい手術だ。

 従来は手術単独か、手術後に抗がん剤治療を加えるのが一般的だったが、近年は、手術の前に抗がん剤や放射線治療を行い、がんを小さくしたうえで手術する方法が普及してきた。今回の調査でも、回答施設の68%が、手術前に抗がん剤や放射線治療を実施していた。

 これに対し、放射線治療は従来、体力的に手術が難しい高齢者や手術が不可能なほどがんが広がっている場合に用いられてきたが、この10年の間に、患者が望めば、手術が可能ながんにも行うことが増えた。手術を上回る治療成績は得られていないが、食道を温存できるため、治療前とほぼ変わらない食生活が送れる利点がある。

 抗がん剤治療と並行して行うのが現在の一般的な方法だ。一覧表の放射線治療件数には、手術を前提とした治療は含めていない。

 東大病院胃食道外科教授の瀬戸泰之さんは「食道がん手術は、医師の技量が治療結果を左右する」と語る。欧米では、手術件数が少ない施設ほど死亡などの割合が高まるとの研究報告がある。瀬戸さんによると、1施設あたりの年間手術件数は20件以上が望ましいといい、今回の調査では74施設(23%)あった。

 手術件数が多い施設は放射線治療の件数も多い傾向がみられる一方、特定の治療だけが突出して多い施設もいくつかあった。また70%の施設で、外科や内科、放射線科などが合同して治療法などを話し合う会議を開いていた。「食道がんの治療は組み合わせも多様なので、診療科の連携が不可欠」と瀬戸さん。治療を受ける際は、治療法の長所、短所を丁寧に説明してくれる施設を選びたい。
(山口博弥)

主な医療機関の食道がん治療件数
地域別リスト  各地域をクリックするとそれぞれの地域の医療機関を表示します。
2009年8月30日  読売新聞)

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