歌手 園(その)まりさん 65
「乳がん」(4)強さも弱さも味わって
手術後も、放射線照射、ホルモン療法と、再発や転移を防ぐための治療が続く。更年期障害の治療とは逆に、ホルモンを減らすため、体も心も不安定になりやすい。
手術から40日後の昨年3月初め、青森でステージに立った。不安でいっぱいだったのに、驚くほど声がよく出た。
「新鮮な気持ちが、のどを開かせてくれたのかもしれません。うれしくて、うれしくて涙が止まりませんでした」
今は、仕事に家事、母の介護など多忙な合間を縫っては、毎日、ウオーキングと岩盤浴に出かける。新陳代謝を良くして、ホルモン療法の副作用を抑えるためだ。再発もなく、手術から1年半。今、心境の大きな変化を感じている。
「これまでは人に言われるままの人生。父の意向で、いやいや歌手になってチヤホヤされました。でも、大病を経験して自分の強さも弱さも味わってから、以前は苦手だった人もいとおしく感じられます。回り道しましたが、ようやく人に歌を歌える人間になったと思います」
9月の三人娘コンサートのサブタイトルは「ニッポンを元気に」。「熟年層のアイドルとしてファンに夢を与え、一緒に元気になりたい」
(文・藤田勝、写真・立石紀和)(次は、俳優、杉良太郎さん)


