2009年8月11日 -- 医療 --

心臓・血管の治療

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開腹せずカテーテル治療

社交ダンスのステップを踏む君塚たか子さん(右)

 「社交ダンスが踊れない人生なんてつまらない」

 東京都台東区の主婦、君塚たか子さん(82)はダンス歴20年。高さ6センチのハイヒールを履き、華麗なステップを踏んでいく。

 だが、3年前に左足のふくらはぎが痛み出し、立っているのもつらくなった。近くの病院で、下腹部から太ももにかけて、動脈が狭くなったり詰まったりしていて、「閉塞(へいそく)性動脈硬化症」と診断された。

 この病気は、足の血管の動脈硬化が原因で、血流が悪くなって、少し歩くとふくらはぎなどに痛みが出る。背骨の神経が圧迫される「脊柱(せきちゅう)狭窄(きょうさく)症」などと症状が良く似ていて、間違われる場合もある。

 診断は、足首と上腕の最高血圧を測って行う。通常、足首の血圧の方が少し高く、足首の数値を上腕の数値で割った値が0・9以下だと閉塞性動脈硬化症の可能性が高い。

 日常生活に支障を来す場合などには、カテーテル(細い管)を使った治療や詰まった部分を迂回(うかい)するように人工血管を縫い付けるバイパス手術が行われる。

 君塚さんは昨夏、紹介された慶応大病院(東京都新宿区)を受診。診察した外科助教の尾原秀明さんに「踊れるようにしてほしい」と訴えた。

 尾原さんは、血流を回復させるために、下腹部の血管にカテーテルを使ってステント(金網状の筒)を入れた。また、同時に足の付け根からひざにかけては、バイパス手術を行った。

 君塚さんは2週間で退院し、今年5月、社交ダンスの練習に復帰。「これからもきれいな服や靴を身にまとい踊り続けたい」と声を弾ませる。

 読売新聞が全国の医療機関に行ったアンケートで、閉塞性動脈硬化症の昨年の治療実績はカテーテル治療が65%を占めた。

 尾原さんは「下腹部辺りの動脈を治療する場合、開腹の必要がないカテーテル治療が第一選択肢になる」と説明する。一方、足の付け根から下の部位は、バイパス手術を行うことが多いが、尾原さんは「カテーテル治療を行うケースも年々、増えている」と話す。

 ただ、手術などはしなくても、運動や服薬によって症状が改善することも多い。東京都荒川区の会社役員、田中勝行さん(71)は、300メートル程度歩くと足が痛くなって歩けなかったが、禁煙をして毎日歩くようにした結果、今では5キロも連続して歩けるようになった。

 尾原さんは「最も適切な治療法は何か、専門医に十分尋ねてほしい」と話す。(利根川昌紀)
(次は「シリーズ女と男 高齢者の性」です)

2009年7月31日  読売新聞)

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