2009年8月10日 -- 心臓病 --

心臓・血管の治療

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「弁形成術」体への負担減

妻、敏子さんと旅行で撮った写真を見る市川惇信さん(東京都町田市の自宅で)

 3年前の冬、東京都町田市の元大学教授、市川惇信(あつのぶ)さん(78)は入浴中、胸が締め付けられるような痛みに襲われた。検査を受けると、心臓に3本ある冠状動脈がいずれも狭くなった狭心症と診断された。

 主治医には、体内にカテーテル(細い管)を挿入し、血管の狭くなった部分にステント(金網状の筒)を入れて広げる治療を勧められた。ほかの医師の意見も聞いてみようと、新聞で知った大和成和病院(神奈川県大和市)を受診した。

 院長で心臓外科医の南淵(なぶち)明宏さんは「血管の狭くなった部分が複数ある場合など、手術が適している場合もあります」などと説明。市川さんは手術を選んだ。

 「バイパス手術」と呼ばれ、胸などから採取した血管を冠状動脈の狭くなった部分を迂回(うかい)するように縫いつけ、血流を確保する。

 従来は、心臓を止めて機械で血液を循環させる人工心肺を使う方法が主流だったが、血栓(血液の塊)ができやすく、血管が詰まると心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞などを起こす恐れがある。

 そこで最近は、人工心肺を使わずに行う「オフポンプ手術」が定着してきた。心臓が動いている状態で行うために高度な技術を要するが、読売新聞が全 国の医療機関に行ったアンケートでは、昨年1年間のバイパス手術の64%がオフポンプ手術だった。市川さんが受けたのもこの手術。「手術の翌日には、集中治療室から歩いて一般病棟に移動しました」と振り返る。

 心臓の手術は、体への負担や手術後の生活への制約が少ない方向に進んでいる。

 血液の逆流を防ぐ心臓の弁が正常に働かなくなる心臓弁膜症では、ブタやウシの組織でできた「生体弁」や金属製の「機械弁」に置き換える「弁置換術」に代わり、傷んだ弁を縫い合わせるなどして形を整える「弁形成術」が広がってきている。

 生体弁は10~20年で傷み、弁の交換が必要になる。機械弁は血栓ができやすく、それを防ぐ薬ワルファリンを一生飲まないといけない。出血を伴う激しい運動を控えるなど、手術後の生活も制限される。

 同病院心臓外科部長の倉田篤さんは「弁形成術だと手術後も、それ以前と同じ生活を送れるので、技術的には難しいが可能な限りこちらを選びます」と話す。

 日本胸部外科学会の統計では、弁形成術は5年間で約2倍に増えた。ただ、弁形成術は僧帽弁が対象で、大動脈弁では一般に、弁置換術が行われている。

2009年7月30日  読売新聞)

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