心臓・血管の治療
手術減少「ステント」急増
「健康に気をつけながら仕事をしています」と話す古市圭右さん(さいたま市の自宅で)
さいたま市で金型工場を経営する古市圭右さん(69)は2001年9月、少し胸が詰まるような感じがした。糖尿病の治療で通っていた帝京大病院(東京都板橋区)で循環器内科診療科長、一色高明さんを受診すると、心臓に3本ある冠動脈のうち、2本が動脈硬化を起こして狭くなり、「狭心症」と診断された。
古市さんは「父親も狭心症で亡くなっており、『まさか自分も』と驚きました」と振り返る。古市さんはカテーテル(細い管)を使い、血管の狭くなった部分にステント(金網状の筒)を入れて広げる「心臓カテーテル治療」を受けた。
この治療は、狭心症や血管が詰まって心筋が
そうした場合、血管を移植して心臓の冠状動脈に
バイパス手術の実施件数が減少する一方で、ステント治療は急増し、昨年は5年前より3割以上多い約20万件となった。古市さんもこのステントを入れ、再狭さくが起きなくなった。
ただ、薬剤溶出性ステントにも欠点がある。挿入後しばらくしてから、まれに血栓(血液の塊)ができる。血管が詰まれば、心筋梗塞や脳梗塞など重篤な病気を引き起こす恐れもある。患者約1万3000人を追跡した国内の調査では、血栓を起こす割合は年間0・3%だった。
読売新聞が全国の医療機関に昨年の治療実績を尋ねたアンケートでは、カテーテル治療のうち、薬剤溶出性ステントを使ったのは約半分。ほぼすべての患者に使用した施設から、ほとんど使っていない施設まで、医師の考えにより、ばらつきがあった。
薬剤溶出性ステントが約7割を占める帝京大の一色さんは「再狭さくが少ないメリットは大きいが、血栓ができる確率は低いとは言え、予防のために血が固まりにくくなる抗血小板薬を1年間飲む必要がある。患部の血管が太い場合などは、従来のステントを使っている」と考え方を説明する。
心臓病による死亡者は年間約18万人でがんに次いで2番目に多い。心臓や血管の病気の治療を紹介する。
(このシリーズは全3回)


