2009年7月10日 -- 医療 --

老いの達人

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詩、絵、恥「三かく主義」

アンパンマングッズに囲まれるやなせさん(東京都新宿区のやなせスタジオで)

 1973年に絵本に登場し、88年からテレビアニメ化された「アンパンマン」。今も子どもたちに愛と勇気を伝え続けるヒーローだ。

 生みの親である漫画家のやなせたかしさん(東京都在住)は、今年2月に90歳を迎えた。「若い時よりも仕事が多い。断るのが大変ですよ」と苦笑いする。

 絵本や童話集、詩集など、今年すでに6冊の本を出版した。法務省や文科省など行政からキャラクター作りを依頼されることも多い。来月にはアンパンマンの映画版最新作が上映される。

 さぞや健康な人かと思いきや、「体の中はみんな壊れてる。ハッハッハッ」。あっけらかんと笑う。

 60歳代後半で白内障と緑内障。70歳代では心筋梗塞(こうそく)を起こした。その後、膵臓(すいぞう)の病気で一部を切除し、後に糖尿病を発症。85歳で腎臓がんが見つかって左の腎臓を摘出。86歳で膀胱(ぼうこう)がんが見つかり、手術や放射線など10回以上の治療を受けた。

 「僕はがんや糖尿病にはならない、そんな病気と闘うことはない、と思っていた。でもアンパンマンも、バイキンマンという敵と闘い続ける。作品と人生とは似てしまうんです」

 しかし、病気以上にこたえたのは、93年、最愛の妻が乳がんで亡くなった時。眠れず、食欲がなくなり、次第にやせた。それでも仕事はやってくる。何とかこなしているうちに、少しずつ元気を取り戻していった。

 何でも食べるが、糖尿病のため糖分をとり過ぎないよう工夫し、血糖値は良好だ。朝は軽い体操をし、時には好きな歌を歌う。「おなかから声を出すので腹筋が鍛えられます」

 歌好きが高じて、84歳でCDデビュー。今も年に5、6回はコンサートで歌を披露する。おしゃれにも気を使い、派手な服も着るようになった。服に負けないよう、気力を奮い起こせるのだという。

 「僕は『三かく主義』。詩を書く、絵を描く、恥をかく。もうこの年だから、恥を恐れずに好き勝手にやる。体はボロボロでも、人生を楽しく生きようと思えば、楽しくなるんです」

 そんな最近の心境が、先月出版した「たそがれ詩集」(かまくら春秋社)の作品にも表れている。

    晩年

  老年ボケやすく

  学ほとんど成らず

  トンチンカンな人生

  終幕の未来も

  なんだかヤバイ

  それでも笑って

  ま、いいとするか

2009年6月30日  読売新聞)

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