2009年6月28日 -- 医療 --

子どもの臓器移植

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[Q&A]提供後 遺族のケア大切

札幌市立札幌病院救命救急センター副医長 鹿野恒(かの・ひとし)さん

 子どもの臓器移植に道を開くか、などを焦点として法律改正が審議されている。救急患者の救命率と臓器提供件数が全国トップクラスで、家族のケアにも力を入れる札幌市立札幌病院救命救急センター副医長の鹿野恒さんに聞いた。

 ――現在、15歳未満は脳死での臓器提供ができません。子どもの臓器移植は必要でしょうか。

 渡航移植する子どもに多額の募金が集まることを見れば分かりますが、多くの国民は移植医療で命を助けたいと願っています。脳死になった子や家族の思いを尊重しながら、脳死下での提供ができる体制を国内でも作る時期だと思います。

 ――子どもの脳死判定の課題は何ですか。

 脳死になると1週間以内に心臓が止まることが多いですが、子どもの場合、長期間、心臓が動き続ける「長期脳死」の可能性があります。しかし、「回復に向かわせる治療法はない」ことを判断するために脳死判定は意味があります。そもそも、脳死判定は治療を打ち切るために必要なわけではありません。家族に命が限られている可能性を知らせ、有意義に過ごしてもらうという発想が大切です。

 ――大人を含め、どのように臓器提供を行っていますか。

 臓器提供は脳死判定後と心臓停止後にでき、腎臓、角膜などは心臓停止後でも移植に使えます。私たちの病院では過去5年半、脳死での提供が1人、心臓停止後の提供が33人ありました。

 家族から臓器提供を申し出ることは少なく、多くのケースで医療者側から家族に提供の意思があるかを尋ねました。本人や家族に提供の意思があるのに手遅れになれば、取り返しがつかない。治療の限界がわかる医療者が、家族に意思確認を行うべきだと思います。

 ――家族へ配慮すべき点は、どんなことでしょうか。

 救命に全力を尽くすことが大前提。救命がいいかげんなら家族との信頼関係も築けません。次に、家族に考える時間を作り、医療者も、専門家であると同時に人間として一緒に考えることが大切です。死の受容は難しく、子どもの場合はなおさらです。「長く一緒に生きたい」「臓器提供してどこかで生きていてほしい」「そのままみとりたい」。それぞれの選択が大切にされないといけません。

 ――臓器提供後のケアも大事ですね。

 私たちの病院では、提供を終えた患者さんを家族と一緒にシャワーできれいにします。医師も看護師も交じって髪を整えたり、化粧をしたりして「よく頑張ったね」とねぎらう。しばらくして家庭訪問もしますが、家族は皆、「息子が生きた証しができた」「娘はまだ生きている」と前向きな思いを抱いている印象を受けます。医療者は「救命」だけに目を向けがちですが、手を尽くしきった時、家族にどう寄り添うか真剣に考えねばならないと思います。(岩永直子)

 鹿野恒さん 1993年、旭川医科大卒。専門は救急、脳蘇生(そせい)で、2005年から現職。日本救急医学会評議員・指導医、日本脳死・脳蘇生学会理事。
(次は「シリーズこころ パニック障害」です)

2009年6月17日  読売新聞)

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