2009年1月23日 -- 医療 --

コレステロール…基準値 性差に配慮を

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シリーズ女と男

「野菜と魚中心の食生活をし、週2回程度運動もしています」と話す松尾さん

 心筋梗塞(こうそく)などを引き起こす要因になるとされる高コレステロール。日本動脈硬化学会は診療指針で、全身にコレステロールを運ぶ“悪玉”LDL「140」を基準値と定めている。

 診療指針作成委員長である帝京大病院(東京・板橋区)内科教授、寺本民生さんは「LDLが140以上になると、男性を中心に心筋梗塞になる人が少しずつ増えてくる。基準値は管理目標ということで、上回れば、必ず薬で下げるということではありません」と説明する。

 LDLの数値の変化は、男女で大きく異なる。一般的に若いうちは、男性の方が高いが、女性は閉経すると一気に上がり、男性を抜く。女性ホルモンにLDLを下げる働きがあるためだ。

 現在、基準値は男女同じだが、男女差を考慮して診療に当たる医師もいる。性差医療を研究する医師で作る「女性医療ネットワーク」理事を務める循環器専門のニコークリニック(佐賀県武雄市)院長の田中裕幸さんもその一人だ。

 長崎県川棚町の主婦、松尾隆子さん(59)は閉経を機に、5年ほど前から高コレステロールになった。薬を飲むと数値はストンと下がった。あまりに薬が効くので、飲み続けていいのか逆に心配になった。

 雑誌で、女性のコレステロール低下治療に慎重な田中さんの記事を見て2004年2月に受診すると、「血圧や血糖値は正常ですから、薬を飲んでまでコレステロールを下げる必要はありません」と言われた。

 田中さんは、「元々女性は、男性よりも心筋梗塞になる危険が低く、高血圧や糖尿病がない女性は、薬を使って心筋梗塞になる危険が減ったという報告もない」と強調する。

 それ以来、松尾さんは、薬を飲んでいない。昨年受けた町の健康診断でも、LDLは174と高いままだが、超音波検査で動脈硬化が進んでいないことが確認できたので、田中さんは、薬は不要、と判断している。

 指針を作成した寺本さんも「診断基準は分かりやすい方がいいので、男女とも同じ数値にしているが、あくまでも一つの目安」としており、基準値の受け止め方や治療の考え方は、医師によって違うのが現状だ。 それを踏まえ、寺本さんは「本来、男女の差、また、年齢によっても基準値は異なってくるはず。 今後は、管理目標についてきめ細かく考えていくことも大事です」と話す。女と男の体には違いがある。性差に配慮した医療は、まだ緒に就いたばかりだ。(利根川昌紀)

 (次は「発達障害」です)

2009年1月16日  読売新聞)

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