2009年1月13日 -- 心臓病 --

微小血管狭心症…中高年女性 胸・のどに痛み

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シリーズ女と男

微小血管狭心症と診断され、最近、治療効果が現れてきた舟津万里さん(東京都内の自宅で)

 胸に重しを乗せられたような圧迫痛、ザワザワとした胸騒ぎ、のどが詰まったような息苦しさ……。

 東京都の主婦、舟津万里さん(54)は一昨年10月ころから、原因不明の症状に悩まされ始めた。翌月、心臓の専門病院を受診し、心電図や超音波などの検査を受けたが、異常はなかった。

 その結果を持って、かかりつけの診療所に行くと、「症状は気のせいではないですか」と、つれなく言われた。自分の言葉が信じてもらえず、見放されたように感じた。別の診療所では、ストレスなどが原因の「心身症」が疑われ、薬が出たが効果はなかった。

 症状は徐々に悪化。月に1回、数時間ほど続いた痛みは、年が明けると、ほぼ毎日で一日中続くことも。寝込むことが多くなり、食欲もなく、2か月で5キロやせた。

 実は症状が始まってしばらくして、インターネットで気になる病名を見つけていた。

 「微小血管狭心症」

 一般的な「狭心症」は、心臓表面の直径2ミリほどの太い動脈が狭くなる。中高年男性に多く、心臓近辺がキリキリ痛み、持続時間はほとんどが5分ほど。

 一方、微小血管狭心症は、心臓の筋肉内を走る300マイクロ・メートル(1マイクロ・メートルは1000分の1ミリ)以下と髪の毛ほどの極細血管 が狭くなったり、詰まったりして胸痛を起こす。40~50歳代の女性に多く、胸だけでなく、のどや背中など、様々な部分が痛むことがあり、痛みは1時間以 上続くこともある。

 米国で1980年代に、一つの病気として認められた。血管を広げる作用がある女性ホルモンが減る更年期以降に発症することが多い。大きな血管が詰まるほどではないので、心電図検査などで見つけることが難しい。

 心臓に細い管(カテーテル)を入れ、特殊な薬を使って極細血管の狭さくを調べるなどして確定診断できる。しかし、検査は体に負担がかかるので、症状から診断されることが多い。

 舟津さんは、東京大病院循環器内科(東京・本郷)を昨年5月に受診、微小血管狭心症と診断された。この病気に詳しく、週1回同病院で診療する千葉県立東金病院副院長の天野恵子さんが担当。やっと、病名が分かり、安心した。

 「医師の間でもこの病気の知識は十分に広がっていない」と天野さん。一般的な狭心症に使われる「ニトロ製剤」の効果が薄く、血圧を下げる「カルシウム拮抗(きっこう)薬」が効くとする調査結果があり、舟津さんは、この薬などの服用を始めた。治療から半年ほどで、少しずつ痛みが軽減してきた。今では通院帰りにデパートで買い物をするなど、終日の外出も大丈夫だ。

 男女の性別によって病態や治療法が異なることがある。性の違いに着目した「性差(せいさ)医療」が最近注目され始めた。今年は、年間テーマとしてシリーズ「女と男」を随時掲載する。(坂上博)

性別の専門外来増える

 発病率や死亡率に男女差がある病気は多い。体の状態に大きく影響を及ぼすのが、性ホルモン。女性ホルモンは動脈硬化の進行や骨の減少を抑えるので、閉経すると、急速に骨や血管の老化が進む。一方、男性ホルモンは糖尿病を進行させたり、内臓脂肪を蓄積させたりする。

 グラフのように、がん、心臓病、脳卒中の3大死因の危険度は、くも膜下出血をのぞけば、男性で高く、骨粗しょう症や骨折など骨のトラブルは女性に多い。しかし、これまでの医療は成人男性を標準として治療法や薬が開発されてきた。

 その反省から2001年、性の違いを考慮した「性差医療」を実践する初の女性専門外来が、鹿児島大病院に登場した。以後、全国に広がり、現在は400か所を超え、少数ながら、男性専門外来を開設した医療機関もある。

 東京女子医大東医療センター日暮里クリニック(東京都荒川区)で女性専門外来を担当する片井みゆきさん(同大性差医療部准教授)=写真=は「閉経 前後で発症しやすい病気もある。患者の性差と年齢を考慮し、各個人に合ったオーダーメイド医療(個別化医療)の提供こそが、新しい時代に求められる」と話 している。

2009年1月6日  読売新聞)

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