脳卒中 最新事情
[Q&A]発作の症状 乏しい理解
日本脳卒中協会理事長の山口武典さん 九州大卒。国立循環器病センター内科・脳血管部門部長、病院長、総長などを経て、2001年から同センター名誉総長。05年から現職。
日本脳卒中協会理事長の山口武典さんに話を聞きました。
――脳卒中の患者数は増えていますね。
「治療の進歩などで死亡者数は減っているのですが、患者数は約136万人で、増え続けています。高齢化のほか、高血圧、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)、肥満などで、これらの患者が増えていることが背景にあります」
――国は今年度、脳卒中対策に力を入れました。
「脳卒中は、がん、心臓病に次いで日本人の死因の3番目にあたりますが、がんに比べると対策が遅れていました。今年4月、病院間の連携を図る『地 域連携診療計画』などが導入されました。患者の社会復帰率を高めることなどが目的ですが、国は脳卒中の予防対策にも本腰を入れてほしいと思います」
――そのほか、最近、脳卒中診療で注目されていることはありますか。
「症状を考慮しながら、発病当日を含む早期にリハビリを始めることで、後遺症を減らせることが分かってきました。また、土曜日や日曜日でもリハビリを行う医療機関もあります。リハビリ専門職員が急性期から積極的に関与していく体制が求められています」
――課題を教えて下さい。
「救急救命士に脳卒中の理解が広がっていない問題があります。厚生労働省研究班が昨年、大阪府、秋田県、広島県呉市の救急救命士約1400人にアンケート調査を行いました。脳卒中発作時の症状を尋ねる設問(別表)では、全問正解者は37%でした。
これでは救われる命が失われる危険性があります。救急救命士だけでなく、一般市民も脳卒中の症状をしっかり理解してほしいと思います」
――日本脳卒中協会は近く、「脳卒中対策基本法」を制定する運動を始めるそうですが、目的は何ですか。
「例えば、急性期医療で重要な『救急車』は総務省、『病院』は厚生労働省と管轄が分かれているので、新しい政策を打ち出しにくいと思います。国を挙げて対策を取るためには、法律が必要だと痛感し、議員立法での成立を目指します。
国と都道府県が計画を立て、人口規模に合わせて脳卒中治療の拠点病院を配置するなどして、地域格差のない医療を実現させます。また、一般市民への予防啓発の重要性も明記し、国民みんなが参加する脳卒中運動にしたいと思っています」(坂上博)
(来週は「皮膚がん」)
Q 脳卒中発作時の症状として正しいもの(複数)を選んでください(正解は記事の最後に)。
〈1〉突然の片側のまひ
〈2〉突然の鼻血
〈3〉急に発熱する
〈4〉突然の言語障害
〈5〉突然の左肩の痛み
〈6〉突然の視野障害
〈7〉突然の脱力
〈8〉両手指のしびれ
〈9〉突然の激しい頭痛
〈10〉突然の呼吸困難
(正解は、〈1〉〈4〉〈6〉〈7〉〈9〉の5個。〈8〉は「片側の手指のしびれ」なら正解)


