2008年9月26日 -- 癌 --

リンパ浮腫(ふしゅ)

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[Q&A]早期発見が重症化防ぐ

小川 佳宏(おがわ・よしひろ)リムズ徳島クリニック院長 1988年、徳島大医学部卒。同大心臓血管外科を経て2000年から現職。44歳。

 リンパ浮腫に詳しいリムズ徳島クリニック院長の小川佳宏さんに聞きました。

 ――リンパ浮腫とはどんな病気ですか?

 リンパ液の流れが滞り、手や足などがむくむ病気です。最も多いのは、がん治療後にわきの下や骨盤内のリンパ管が傷ついて起きる場合です。乳がん患者の約1割が手に発症、子宮がん患者の約3割が足に発症すると言われています。生まれつきリンパ液の流れが悪い原発性の患者も1割程度います。大けがをしたり、末期がんでリンパ節に転移したりして起きる場合もあります。

 ――診断は?

 当院では、超音波検査で手足の皮下組織に水分がたまっているかどうか確認します。心臓や腎臓、肝臓、甲状腺、静脈の異常でむくみが起きることもあります。これらに異常がないのに、むくみが確認された場合、リンパ浮腫を疑います。

 ――治療は?

 リンパ浮腫を完全に治すことはできません。症状を改善し、良い状態を保つ治療が主体です。

 国際リンパ学会では、第一選択肢として「複合的理学療法」を推奨しています。刺激の少ない保湿剤で皮膚を守るスキンケア、手や足にたまったリンパ液を体に戻すマッサージ、弾性包帯を巻く圧迫療法、圧迫下でリンパ液の排出を促す運動療法の組み合わせです。最も重要なのが圧迫です。専門の施設で治療を受けて習得すると、自分でもできるようになります。

 日常生活では、治療用の弾性ストッキングやスリーブ(袖)を着用します。軽症なら、これらの着用だけでも十分です。

 ――発症前から治療を受ければ予防できますか?

 発症前に治療を始めても予防できるというデータはありません。けれども、早期に発見し、治療をすることで重症化を防ぐことはできます。リンパ浮腫の早期には皮膚が硬くなったり、厚くなったりします。乳がんなら二の腕やわきの下、子宮がんなどならそけい部、下腹部、太ももの内側の皮膚を日ごろからさすったり、つまんだりして左右差があるようでしたら、治療を受けた医師などに相談してください。

 ――4月から弾性ストッキング、スリーブなどが保険適用になりました。

 医師に指示書を書いてもらい、いったん自費で購入し、指示書と領収書を健康保険組合(国民健康保険は居住地の市区町村)に提出すると、自己負担分以外が現金で還付されます。特定のがんの手術後に起きたリンパ浮腫のみに限られ、1年に2回、1回に2着までで、価格の上限があります。

 ――知識が乏しい医師も多いと聞きます。

 医学生の教育カリキュラムの中にリンパ浮腫に関する詳しい解説がないため、十分な知識を得られずに医師になる人が大半です。保険適用で医師の関心も高まっていますが、根本的には教育カリキュラムを変える必要があると思います。(館林牧子)

 (来週は、「病院の実力 糖尿病治療」です)

2008年9月19日  読売新聞)

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