2008年9月13日 -- 医療 --

過敏性腸症候群

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[Q&A]逆効果になる市販薬も

佐々木 大輔(ささき・だいすけ)弘前大学保健管理センター教授 1968年、弘前大医学部卒。消化器内科と心療内科が専門。64歳。

 過敏性腸症候群の原因や治療について、弘前大学保健管理センター教授の佐々木大輔さんに聞きました。

 ――強いストレスにさらされると、なぜ腸の調子が悪くなるのでしょうか。

 我々は「脳腸相関」という言葉を使います。脳で感じたストレスは、自律神経を介して腸管を刺激し、運動異常が起きて腹痛や下痢、便秘が引き起こされます。逆に、腸の不調が脳のストレスになり、不安や緊張、抑うつなどを招くこともあります。

 ――下痢になる場合と、便秘になる場合があるのはなぜですか。

 下痢は、食べものを押し出すための大腸の蠕動(ぜんどう)運動が過剰になって起こります。

 便秘は、大腸の運動が弱まって起こる弛緩(しかん)性便秘が多いのですが、過敏性腸症候群の便秘は、ストレスの影響で腸管の一部がけいれん、収縮して、便がそれよりも先に行かなくなって起こります。これをけいれん性便秘と呼びます。

 弛緩性便秘では、便が太くて硬くなりますが、けいれん性便秘では、便がポロポロして小さくなる傾向があります。

 ――効果的な薬はないのでしょうか。

 腸内の水分バランスを整えるポリカルボフィルカルシウムがよく使われます。効果が出るまでに1、2か月かかりますが、下痢、便秘のどちらでも改善が期待できるのが特徴です。

 今秋には、男性の下痢型過敏性腸症候群に効果があるイリボー錠(一般名・ラモセトロン塩酸塩)が発売されます。脳からの過度の刺激が大腸に伝わるのを抑えて下痢を防ぐと共に、大腸の痛覚が脳に伝わるのを抑制して、腹痛を抑えます。臨床試験では、ほぼ半数の男性患者の症状が改善しました。ただ、女性の下痢型には効果が十分証明されておらず、まだ使えません。

 ――市販薬を使う人も多いのですが、注意点はありますか。

 市販の下痢止めは、肛門(こうもん)に近い腸管を収縮させて便の出口をふさぐものが多く、効果は一時的です。腸管の緊張が強まってしまう恐れもあります。

 また市販の下剤は、腸の運動を活発化させて便を出そうとするものが多く、けいれん性便秘には逆効果です。服用する場合は専門家の意見を聞き、適切な薬を選ぶことが大切です。

 ――薬以外の治療法としてお勧めの方法を教えてください。

 朝食をしっかり食べて、通勤前に排便するなど、規則正しい生活習慣を取り戻すことが先決です。海藻やキノコなど、水溶性の食物繊維を多く取ると、腸の働きが良くなります。

 ストレスを上手に解消することが大切で、心身の調和をはかる自律訓練法はお勧めです。最初は必ず、専門家の指導を受けて取り組んでください。(佐藤光展)
(来週は「末梢(まっしょう)神経の再生治療」です)

2008年9月5日  読売新聞)

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