歌手 西城秀樹さん 53
「脳梗塞」(3)妻の励ましと子供の寝顔 力に
脳梗塞は幸い、重いものではなかった。10日間で退院し、病院とジムでリハビリを始めた。舌をアイス棒で冷やしたり、温めたりして刺激を与える。それに筋トレやストレッチ。舞台の仕事もあった。
「最初の1年間は、ろれつが回らず、つらかった。でも、やんなきゃいけない舞台があったのが、良かったですね。周りの共演者も、支えてくれました」
体調を整えるために、舞台の2時間前から、ウオーキングで血行を良くし、発声の練習をして、本番に臨んだ。
「気分にも体調にも波があるのが、この病気。三歩進んで二歩下がる。仕事はプロ意識でできるんですけど、一人の自分になると、ただただ不安が押し寄せてくるんです」
力になってくれたのが家族だ。「ゆっくりやろうよ」という妻。そして子供の寝顔。
「パパ、なんとか、ここを脱出するからな、待ってろよ」。気持ちを立て直して、リハビリに向かった。
まだ小さな娘に、この先読ませるつもりで、日記のように文章を書いた。
「パパは失敗した。でも、こういう闘い方をしたって伝えたくて」。発病の翌年2004年に出版された本のタイトルは「あきらめない」。


