歌手 西城秀樹さん 53
「脳梗塞」(2)しゃべりづらい「歌えない」
韓国・済州島のホテルから、日本の知り合いの医師に電話を入れた。言葉がスッと出てこない。左ほおに違和感を感じると説明した。
「脳梗塞の疑いがありますね」と言われ、近くの病院に行くと、安静を指示された。夜にディナーショーがある。病院には責任がない、との一筆を残して舞台に立った。
「脳梗塞が、どんな病気かよくわからなかったということもありますが、仕事ですから、穴は開けられません」
絶唱型のヒット曲が多いが、バラード系の曲を多くしてショーを終えた。
翌日、血液をサラサラにするため、水をたっぷり飲み、飛行機で帰国、成田から東京都内の大学病院へ向かった。
検査で、脳の右に血管が詰まった場所が見つかった。ラクナ梗塞といい、細い血管が詰まる。詰まった位置から、ろれつが回らず、言葉が出にくい症状が表れたとみられた。
入院中、医師に尋ねた。「しゃべりづらい、ということは、歌いづらいということですよね」「その通りです」
「歌えない西城秀樹。死んだも同然……」
17歳年下の妻は言う。「一緒に治していこうよ。できることはあるよ」。希望のこもった明るい声に救われた。


