家庭血圧
[Q&A]朝晩測って習慣改善
今井 潤(いまいゆたか)東北大学教授 1971年、東北大学医学部卒。同大第2内科を経て、99年から同大薬学部(医療薬学)教授。
家庭血圧の基準値のもととなった大迫(おおはさま)研究の主宰者である、東北大学教授の今井潤さんに聞きました。
――血圧が高いとどんな問題があるのでしょうか。
血圧が高い状態が長く続くことで血管が傷つき、脳卒中や心筋梗塞(こうそく)などの病気を引き起こします。糖尿病や脂質異常症もある患者ではさらに問題です。また最近は、加齢に伴う慢性の腎臓病をもたらす悪影響も注目されています。
――日本にはどれぐらいの患者がいるのですか。
約3500万人と言われていますが、そのうち治療を受けているのは半分以下の1500万人。さらに適切な状態を維持できている人は、400万~500万人と言われています。
――生活習慣の改善が第一だと言われますが。
血圧を下げるには、運動や肥満の解消が大切なのは分かり切っていますが、実際に続けるとなると難しい。また望ましい食塩摂取量は1日6グラムに対し、日本人の平均は減ったとは言え10グラム以上あります。食事指導を行うといったんは減るのですが、1年もたつと元に戻ってしまうことも少なくありません。
――家庭での血圧測定を勧める理由は何ですか。
患者自身が自己管理することが、生活習慣の改善につながります。ひと月に1回程度の受診時の測定で、得られる情報は限られています。家庭というストレスのない安定した状態で測った毎日のデータは、患者の本当の状態を知るのに非常に有効です。家庭用血圧計は全国に3000万台、1世帯に1台はあると言われますから、これを生かさない手はありません。
――家庭血圧を測る時の注意点は?
家庭血圧の基準値(高血圧は上135以上または下85以上)は、一定の決められた条件下(表)で測った場合のものです。回数は朝晩それぞれ1回で十分ですが、長期間続けるのが肝心です。もし1回に何度も測った場合には、最も低い測定値だけではなく、すべて記録しておき、医師の所へ持参してください。市販されている機器には指や手首で測るタイプもありますが、日本高血圧学会では上腕で測るものを勧めています。
――家庭血圧の研究でわかったことは何ですか。
診察室で高血圧と診断された人のうち、家庭で測ると正常な「白衣高血圧」が15%程度、家庭だけが高血圧を示す「仮面高血圧」が10%程度含まれることがわかりました。家庭血圧を測定することで、治療が不必要となる場合があり、逆に必要な治療が開始されることから医療費を抑制する効果も期待できます。(田村良彦)
(来週は「シリーズこころ 続境界性人格障害」です)
◆家庭血圧を測る時の注意
<朝>
・起きて1時間以内の排尿後
・朝食や服薬の前
・座って1~2分安静にする
<晩>
・就寝前
・飲酒や入浴後でもかまわない
・座って1~2分安静にする
2008年8月1日 読売新聞


