家庭血圧
毎日測定 治療の基準に
「好物の漬物をはじめ塩分の多い食事は避けるよう気をつかっています」と話す吉村さん(千葉県松戸市の自宅で)
千葉県松戸市の元会社員吉村芳江さん(63)は2004年秋、勤務先近くの宮川内科小児科医院(横浜市保土ヶ谷区)を受診。血圧は上が160近くもあり、高血圧の診断基準をはるかに上回っていた。
「薬が出るだろう」と思っていたところ、院長の宮川政昭さんから渡されたのは家庭用の血圧計。まず自宅で2週間、朝晩の血圧を測ってくるように言われた。治療方針を決めるのは、まず家での血圧を調べてからという。
血圧の基準は、実は2種類ある(=表)。一般的なのは、健診や診察で測った「診察室血圧」だ。これに対し、本人が自分で測る「家庭血圧」は、診察室に比べリラックスした状態で測るため、やや低めだ。
白衣を着た医師の前では緊張して基準値を超えるが、家庭で測ると正常範囲という「白衣高血圧」も、15%程度いるとされる。それに加え、「月に1回程度しか測らない診察室での数値より、家庭で毎日測った数値の方が、その人の“本当の血圧”をより正確に表している」と宮川さん。
家庭血圧はこれまで参考程度の扱いだったのが、正確に測れる機器の普及もあり、医療現場でも重視されるようになってきた。同医院では、家庭に血圧計のない患者には機器を貸し出し、すべての高血圧患者に家庭血圧を測ってもらう。
吉村さんは家庭での測定でも、上が140~150台と高めで、2週間後改めて高血圧と診断。大好きな漬物を我慢するなど塩分取りすぎの食事を改めるとともに、翌年春に薬物治療を開始。薬なしでも大丈夫になった昨年夏以降も、「自分の健康管理のため」に、毎日測定は続けている。
治療効果をみるうえでも、家庭血圧は大切だ。毎朝2種類の降圧薬を飲んでいた横浜市の会社員山口真佐子さん(62)。寝る前の血圧は正常なのに、朝の血圧だけはなかなか下がらない。
そこで宮川さんは、すぐに薬の種類や量を増やすのではなく、朝飲んでいた薬を、夜寝る前に飲むように変えて様子を見ることにした。薬の効果が発揮される時間帯をずらすことで、うまくいく場合もあるためだ。宮川さんは「患者さんの血圧の傾向を知った上で、治療を考えれば、薬をいたずらに増やすことを防ぎ、うまく血圧を管理していける」と話す。
| 収縮期 拡張期 | ||
| 診察室血圧 | 高血圧 | 140以上または90以上 |
| 正常血圧 | 130未満かつ85未満 | |
| 家庭血圧 | 高血圧 | 135以上または85以上 |
| 正常血圧 | 125未満かつ80未満 |
2008年7月29日 読売新聞


