脳卒中の再発防止 症状治まっても油断禁物。ポイントは。
◆脳卒中の再発防止 症状治まっても油断禁物。ポイントは。
◇生活管理と薬の服用--×…喫煙、深酒 〇…適切な食事、運動、睡眠
◇万一に備え病院探しも 他の患者の体験参考に
脳卒中は、脳の血管が詰まる(脳梗塞(こうそく))か、破れる(脳出血)ことで、その先の細胞に栄養が届かずに細胞が死んでしまう病気だ。脳の表面に近いクモ膜の下の血管が破れるクモ膜下出血は脳出血のひとつだ。脳卒中が原因で死亡した人は年間約12万8300人(06年)で、このうち脳梗塞が約60%を占める。脳出血は約26%、クモ膜下出血は約11%だ。かつて、栄養不良で血管が弱く破れやすかったために脳出血が目立った。今では、高血圧や糖尿病などが増え、血管が詰まる脳梗塞が増えてきた。
■重症化の危険
脳卒中を起こしても、いったん症状が回復すると再発防止を怠る人が多い。再発のたびに重症化し、寝たきりとなったり、認知症になる場合がある。
荏原病院(東京都大田区)の長尾毅彦・総合脳卒中センター医長は「脳梗塞を起こした人の3人に1人は5年以内に再発している」と指摘する。
退院後も、喫煙や大量飲酒、運動不足、睡眠不足、ストレスなどの危険因子を減らさないと、再発の可能性はついて回る。
再発防止は「危険因子と生活スタイルの管理」と「薬の服用」が2本柱となる。
「体重を適正に保ち、次に血圧や血糖値、悪玉コレステロールを管理することが必要だ」と長尾さんは強調し、生活管理が再発防止の基本だと話す。
■治療法よく理解
その上で、薬を服用する。血が固まるのを防ぐ抗血小板薬として、アスピリン、クロピドグレル、シロスタゾールがよく使われる。アスピリンは価格が他の薬より安い。クロピドグレルは副作用が弱い。薬の特徴を知って主治医の指示に従うことが大切だ。
ただし、心臓の中にできた血栓が脳の動脈に流れ着いて詰まる心原性脳塞栓症では、抗血小板薬の効果はなく、抗凝固薬のワーファリンが第一の選択となる。
脳卒中が再発したら、時間的な猶予はない。あらかじめ、自分の地域でどの病院に行けばよいかを把握しておくのが肝要だ。長尾さんによると、病院選びで重要な要素は、(1)脳卒中の専門病棟がある(2)MRI(磁気共鳴画像化装置)検査が可能で脳卒中専門医などが24時間対応している(3)血栓溶解剤のt-PA(組織性プラスミノーゲン活性化因子)の使用実績がある(4)入院直後からリハビリテーションが可能になっている--などだ。
■前向きに過ごそう
日本脳卒中協会(大阪市)が作成した冊子も参考になる。このうち、脳卒中で倒れた20人が体験をまとめた「脳卒中後の私の人生」(54ページ、B5判)は教訓に満ちた手引書だ。
寄稿した新潟県柏崎市の柴野信雄さん(82)の経験はこうだ。97年夏、海外旅行から帰った直後に一過性の目まいを感じた。その1週間後、朝起きようとしたときに立てず、病院へ運ばれた。脳梗塞と診断された。医師から血圧を下げる薬を勧められていたが、健康に自信があり、服用しなかった。高血圧の家系だったが、「まさか自分が脳梗塞で倒れるはずがないという自信過剰がいけなかった」と述懐する。
現在は再発防止に向けて、毎日血圧を測り、降圧薬と抗血小板薬を服用し続けている。家事の手伝い、歩行、全身マッサージなど極力体を動かすようにしている。「落ち込んで何もしないのが一番よくない」と助言する。
同協会にはこのほか、「脳卒中を予防するための十か条」(23ページ、A5判)「脳卒中市民シンポジウム講演録」(52ページ、B5判)などの冊子を配布している。いずれの冊子も無料だが、送料は自己負担となる。
問い合わせは〒545-0052 大阪市阿倍野区阿倍野筋1の3の15、日本脳卒中協会(電話06・6629・7378、ファクス06・6629・7377)。メールアドレスはinfo@jsa‐web.org【小島正美】
毎日新聞 2008年7月8日 東京朝刊


