卵巣がん 新療法に期待
本田 麻由美記者
今月6日、専門医らで作る「婦人科悪性腫瘍(しゅよう)化学療法研究機構」が都内で記者会見を行ったので、私も参加した。
シカゴで開かれた米国臨床腫瘍学会(ASCO)で、「ベストオブASCO」に選ばれた、同機構の「卵巣がんの新療法に関する研究」について発表する会見だった。
ASCOといえば世界中のがん医療関係者が注目する“世界のがん学会”だ。そこで高い評価を得た研究に、卵巣がんを疑われた経験もある私は大きな関心を持った。
現在の進行性卵巣がんの標準治療は、パクリタキセルとカルボプラチンという2種類の抗がん剤を3週ごとに投与する方法だ。これに対し同機構は、これまでの標準治療と、パクリタキセルを毎週投与(カルボプラチンは標準治療と同じ)する方法を比較。2003年4月から全国の病院で637人の患者が参加し、無作為にそれぞれの治療をする人を選び、臨床試験を行った。
その結果、治療後から再発までの期間(中央値)は、標準治療が17・2か月に対し新療法は28・0か月。生存期間は解析途中だが、2年生存率が標準77・7%に対し新療法83・6%。「投与法を少し変えただけで、明らかに標準治療より効果が高かった」(野田起一郎・同機構理事長)という。
卵巣がんは十数年来、従来の標準治療を上回る治療法が見いだされてこなかった。それだけに国際的に評価された日本発の新療法に患者の期待は大きい。学会には標準治療の一つとして提供されるよう周知を、行政には保険診療の即時認可を求めたい。
大事なことが、もう一つある。こうした新たな治療の恩恵を受けられるのは、臨床試験に参加した患者がいるからだという点だ。リスクを覚悟して参加してくれるそうした患者たちへ感謝しつつ、新しい医療を作っていくのも医療者と患者の共同作業であることを忘れてはならない。
2008年6月22日 読売新聞


