なくそう・減らそう糖尿病:第9部・楽々食事療法/4
◇食品交換表、使うコツ--まず写真眺めて、傾向つかむ
糖尿病の食事療法で必須の書物が、日本糖尿病学会が編集した「食品交換表」だ。エネルギー80キロカロリーを「1単位」とし、1単位に相当する食品の重さと量を掲載。紹介された食品は約1000種類で、献立の幅を広げるのに役立つ。初版から40年余。メタボ健診(特定健診)の結果が気になる人の手引書としても再び脚光を浴びている。【大場あい】
◇自分の生活に合う配分見つけて
東京都内で働く男性会社員(43)は4年前から血糖降下薬を服用しているが、最近血糖値が下がりにくくなった。今年4月に糖尿病専門医を訪れた際、「食事が基本」と言われて購入したのが食品交換表だった。
男性は、プロセスチーズ(1単位20グラム)やもめん豆腐(同100グラム)は想像よりカロリーが高いと知った。また、食べてはいけない食品はないことも学んだ。そこで、(1)ご飯はきちんと食べる(2)脂身の少ない肉を選ぶ(3)食が進んでしまうアルコール摂取を控える--を基本に、食生活を見直した。3週間後の再受診で、体重は2・5キロ減の63・5キロに、空腹時の血糖値は血液1デシリットル当たり178ミリグラムから88ミリグラムに改善した。男性は「食事の大切さを甘くみていた。最近は食品のおおよその単位を、見た目で分かるようになった」と話す。
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交換表の正式名称は「糖尿病食事療法のための食品交換表」(945円)。65年に初版が出された。日本糖尿病学会の伊藤千賀子・食品交換表編集委員長によると、80キロカロリーを基本単位としたのは、日本では食卓に上る食品が80キロカロリーかその倍数になっていることが多いためだ。例えば、小さい茶わんに1杯のご飯(100グラム)は160キロカロリーだ。
食品は、種類に応じて6グループに分類されている。(1)穀物、イモ、炭水化物の多い野菜(レンコンなど)、豆(大豆を除く)(2)果物(3)魚介、肉、卵、チーズ、大豆・大豆製品(4)牛乳と乳製品(チーズを除く)(5)油脂、多脂性食品(6)野菜、海藻、キノコ、こんにゃく--で、同じグループ内で同単位ならば、別の食品と「交換」できる。
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課題は、使いやすさだ。羽倉稜子・埴生内科(東京都中央区)院長が00年に公表した糖尿病患者3000人を対象に実施したアンケート調査によると、患者の約8割が「交換表は役に立つ」と評価したが、「(習得するための)勉強が苦痛」という人も3割いた。どう献立に反映させるのか、とまどう人も多い。
この点について、羽倉さんは「交換表の写真を眺めるだけでも『油は少量でもカロリーが高い』などの傾向がつかめる。健康を維持する食事のための参考書として使ってほしい」と助言する。また、管理栄養士の本田佳子・女子栄養大教授は「自分の食事内容を交換表で確認し、食べ過ぎのグループを減らし足りないグループの食品を増やすことから始めよう」と提案する。
注意したいのは、「表2」の果物や6グループに含まれない「嗜好(しこう)品」だ。果物は健康にいいという印象から多めに食べがちだが、リンゴ中1個は2単位に相当する。スポーツ飲料や天然果汁のジュースは「嗜好品」に当たり、大量に飲むと高血糖を招きかねない。
食事療法を長続きさせるコツは、自分に合う方法を見つけることだ。果物を多めに食べたい人は、主治医らに他のグループの単位を減らせるか相談する。交換表に紹介されている単位数は15、18、20、23の4通りだが、別の配分も考案できる。本田教授は「主治医らに自分の生活習慣を説明し自分にあった単位数や配分を探ってほしい」と呼びかけている。
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■1単位(80キロカロリー)の目安
〔表1〕ご飯 50グラム(小さい茶わん半分)
食パン 30グラム(6枚切り半分)
西洋かぼちゃ 90グラム(小1/8個)
〔表2〕ミカン 200グラム(中2個)
リンゴ 150グラム(中1/2個)
バナナ 100グラム(中1本)
〔表3〕アジ 60グラム(中1匹)
牛肉もも 40グラム
鶏肉ささみ 80グラム
鶏卵 50グラム(1個)
プロセスチーズ 20グラム
〔表4〕牛乳 120ミリリットル
ヨーグルト(脱脂加糖) 120グラム
〔表5〕植物油 10グラム(大さじ軽く1杯)
アボカド 40グラム(大1/4個)
ベーコン 20グラム
〔表6〕野菜 300グラム
(海藻、キノコ、こんにゃくは制限なし)
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■摂取エネルギー量(キロカロリー)の目安
摂取エネルギー量=標準体重(キログラム)×身体活動量
※標準体重(キログラム)=身長(メートル)の2乗×22
※身体活動量の目安
(1)デスクワークが主な人 25~30キロカロリー
(2)立ち仕事が多い職業 30~35キロカロリー
(3)力仕事の多い職業 35キロカロリー~
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■6グループの1日の配分例<20単位(1600キロカロリー)の場合>
〔内訳〕
合計単位 朝 昼 夜 間食
表1 穀物、イモ、豆など 11 3 4 4
表2 果物 1 (料理、間食に合わせて配分)
表3 魚介、肉、卵、大豆 4 1 1 2
表4 牛乳、乳製品 1.5 (料理、間食に合わせて配分)
表5 油脂、多脂性食品 1 (料理に合わせて配分)
表6 野菜、海藻、キノコ、こんにゃく 1 0.3 0.3 0.4
調味料(みそ、砂糖など) 0.5 (料理に合わせて配分)
(「糖尿病食事療法のための食品交換表」第6版より)
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イラストは、過食を警告するシンボルマークの「エンゼルピッグ」
毎日新聞 2008年6月13日 東京朝刊


