子供のメタボ
食事制限より習慣見直し
東京都の中学2年生A君(13)は昨年、血液検査で肝機能の数値が悪く、日本大学板橋病院(東京都板橋区)を受診した。身長143センチに対し、腹囲は約90センチあり、太り気味だった。血糖値が高めで、「善玉」のHDLコレステロールの数値は低く、「小児期メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)」と診断された。(利根川昌紀)
小児と成人のメタボリックシンドローム診断基準メタボリックシンドローム(メタボ)というと、大人の話と思われるかもしれないが、子供にも診断基準が作られた。正しい食事や運動の習慣を身につけてもらうことを目的に、厚生労働省研究班が作成した。
背景は、肥満の子供が増えていることだ。文部科学省の学校保健統計調査によると、肥満児の割合は、小学1年生(6歳)で30年前の2・6%から昨年度は4・8%、中学3年生(14歳)では4・9%から9・5%に増えた。
子供のころに肥満だと、多くが大人になっても肥満になっているという報告もある。日大板橋病院新生児病科長の岡田知雄さんは「子供のころに生活習慣を改善しておかないと、成人後に動脈硬化や糖尿病が早く進行する危険が高まる」と指摘する。
診断基準は6~15歳が対象で、男女とも腹囲80センチf(小学生は75センチ)以上か、腹囲を身長(ともにセンチ)で割った数値が0・5以上で、かつ脂質、血圧、血糖値の3項目のうち、2項目以上が異常なら、小児メタボと診断される。
脂質の基準値は、1万人以上の子供の健診結果から、中性脂肪は「120以上」、HDLコレステロールは「40未満」となった。血圧は日本高血圧学会の指針を参考に、最大血圧「125以上」、最小血圧「70以上」とした。
血糖値は年齢による違いは少ないとして、40~74歳を対象に先月始まった特定健診の基準と同じ「100以上」と定めた。
研究班によると、男女とも腹囲82センチ程度になると、脂質、血圧、血糖の数値のいずれかに異常が出やすい。予防的意味合いをこめ、腹囲の基準を80センチと決めた。
ただ、小児メタボは、基準値を超えたら病気、というわけではなく、通常は投薬などの治療は行わない。A君も、揚げ物を控えて野菜を多くとるなどを心がけ、週4~5回は部活動のテニスに励んだ。すると、1年足らずで身長が8センチほど伸びた一方、腹囲は4センチ減り、脂質の数値なども正常になった。
子供は短期間で身長が急に伸びることが多く、大人のように朝昼晩の食事の量や内容を制限すると発育上、問題になることもある。スナック菓子やジュース、ファストフードなど間食で乱れがちな食習慣を見直すことが大切だ。研究班の主任研究者で浜松医大小児科教授の大関武彦さんは「診断基準は、家庭 で健康を考える目安としてほしい」と話している。
2008年5月16日 読売新聞


