2008年4月24日 -- 心の病 --

精神科救急

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受け入れ「うち以外ない」

深夜に自殺を図った女性が、さわ病院に搬送されてきた(大阪府豊中市で)

 自殺目的で多量に服薬した精神疾患の患者は、再び自殺を図る恐れなどから、一般病院では受け入れを断られることが少なくない。

 服薬自殺を図った30歳代の女性が、さわ病院(大阪府豊中市)に着いたのは午後11時50分。兵庫県内の市立病院で胃の洗浄など緊急処置を受けた後、転送されてきた。

 女性はうとうとし、意識が戻りかけている「傾眠状態」と連絡を受けていたが、院長の澤(さわ)温(ゆたか)さんが対面すると「昏睡(こんすい)状態」だった。体を押しても反応がなく、酸素吸入や気道の確保が必要だ。澤さんは市立病院に電話した。

 「これは昏睡状態ですよ。内科医がいないうちでは対応が難しい。救命救急センターに運ぶべきです」

 緊迫したやりとりが続く。だが、アルバイトの当直だという市立病院の医師は「命に別条はない」と譲らない。ついに澤さんが折れ、さわ病院の集中治 療室で、救命医療の経験がある病棟の当直医が診ることになった。「うちで受け入れなければ行き場がない」とのぎりぎりの判断だ。

 午前0時過ぎ、更に2台の救急車が到着。1人は「眠れない。病院に行きたい」と救急車を呼んだ統合失調症の50歳代の女性。もう1人は、仕事で大阪市に宿泊中、てんかん性のもうろう状態となった中部地方の50歳代の男性だった。

 大阪府では、精神科病院が救急の輪番を組み、連日、4~6施設が交代で対応している。だが、参加施設は府内59病院の半数に満たない24病院にとどまる。夜間や休日は電話もつながらない精神科診療所が増え、その患者が救急を利用することも増えてきた。

 同病院では、24時間体制で通院患者に対応し、大阪府の輪番にほぼ毎日参加している。この夜は、4台の救急車がやって来た。外来での対応が10人、3人は入院した。「眠れない」などの電話も17件あった。

 現在の精神科医療は、入院期間を抑えて外来で治療する流れになっており、自宅などでの状態の悪化に対応した精神科救急の必要性が高まっている。

 澤さんは「自院の患者さんへの24時間対応は医療機関として当然。今後は、診療所の医師が近くの病院の夜間救急に参加するなどの体制整備が必要」と話す。

 早朝、集中治療室の女性の意識が戻りはじめた。診療開始3時間前の午前6時、近くの患者が集まりだし、いつものように正面玄関を開けた。さわ病院は今日も眠らない。

2008年4月16日 読売新聞

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