2008年4月22日 -- 心の病 --

精神科救急

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24時間体制 救いの場

電話対応に追われる澤温さん(右)と森田妙子さん(大阪府豊中市、さわ病院で)

 精神科専門のさわ病院(大阪府豊中市)の正面玄関は、平日も休日も午前6時に開く。診療開始まで3時間あるのに、近くに住む患者が次々と入ってくる。外来のソファで朝食を食べる人、廊下を行き来する人など、過ごし方は様々だ。

 「一番安らげる場所なのかもしれません」と当直の看護師森田妙子さん。24時間体制で患者を支えるこの病院で今月初め、記者は通常の診療時間外の医療活動をつぶさに見た。

 午後5時、市外の70歳代の女性が救急車で来院した。自分がどこにいるか分からず、意識がもうろうとしたり、騒いだりする老人性せん妄の状態だった。

 毎晩、医師と看護師各一人が救急にも対応する。昨年の夜間外来者は1059人、夜間入院者は681人にのぼる。通年で夜間体制を取る精神科病院は数少ない。

 この女性は精神科診療所を受診したが、入院が必要な状態で、対応できる施設を医師らが電話で探した。「満床」などと断られ続け、1時間以上してやっと見つかったのが同病院だった。

 この日の当直で院長の澤温(さわゆたか)さんは、女性の入院を決め、その後は、時間外の外来診療に追われた。

 うつ傾向がある大阪市内の若い女性は「会社内の異動で仕事が変わり、新しい人間関係に疲れる。自分を消したい」という。澤さんとしばらく話すうちに次第に落ち着き、「自分を否定しても始まらないですね」と笑顔を取り戻した。

 続いて、対人恐怖症の若い男性を診察。人が多い昼間の病院は怖くて受診できないという。夜間診療は、このような患者にとっても救いの場となる。

 午後8時59分、外来診療の最中、電話が鳴った。兵庫県の救急隊からだ。うつ病のため、同病院で前日に処方した抗不安薬や睡眠導入剤などの薬2週間分を一度に飲み、自殺を図った30歳代の女性を救急車に乗せたという。命にかかわる量だ。

 「すぐに近くの病院で胃の洗浄などを行い、内科的に問題がないか確認してください。その後は、うちが引き受けます」。診察中の澤さんに代わり、看護師の森田さんが対応する。

 20分後、再び救急隊から電話があった。「市立病院は満床のため、処置後に搬送できる病院がなければ胃洗浄もできないと言われました。本当に受け入れてくれるんですね」

 瀕死(ひんし)の女性は、まだ救急車の中にいた。

2008年4月15日 読売新聞

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