更年期で通っている精神科の薬を漢方薬に替えたいが。
◇質問
寒い季節でも汗が出て動悸もして、婦人科で血液検査の結果、更年期と言われました。ホルモン補充療法を始めましたが、出血がいやで3週間で中止。うつ気分で不安感や不眠もあり、精神科で抗うつ剤、抗不安剤、睡眠導入剤を出されています。でも、頭がぼーっとして昼間も眠く、気力が出ないのです。漢方薬に替えてみてはと思いますが、それで良くならなかったらと思うと踏み切れません。母の介護もあるのにと自分をせめてしまいます。(47歳/女性)
◇回答
更年期には、ホルモン・バランスの乱れが自律神経系や感情面のコントロールにも影響して、心身ともに不安定な状態になりがちです。また、最近増えているうつを例にとると、女性のほうが男性より2倍以上なりやすく、時期も40代後半に多く、更年期と重なることも問題を複雑にしています。更年期の女性は、女性ホルモンの減少による身体の変調とともに、こころの健康にも注意することが大切です。
漢方にくわしい幸田るみ子医師(昭和大学病院漢方外来)によると、うつの患者さんでは精神科の薬を漢方薬に替えてほしいと希望してくることもあるそうです。漢方治療では、気・血・水という独自のとらえ方で患者さんの状態を把握し、陰陽・虚実も考えて、個別性を重視した治療を行います。このため病名は同じでも、用いる薬はまったく異なる場合もあります。
例えば、気分が不安定で冷えや疲れやすさを伴った女性の場合、香蘇散という風邪に用いる薬で症状が改善した人もいます。香蘇散には、気うつなどの症状を改善する働きがありますが、合うかどうかは漢方に詳しい医師の診察を受けることが大切です。
「精神科で出されている薬をいきなりやめるのではなく、自分に合う漢方の薬を処方してもらい、まずは漢方薬と精神科薬を併用し、メンタルケアの主治医とよく相談しながら、徐々に量を減らしていくのも方法でしょう。しかし、症状が重い場合は、漢方薬だけでは無理なことも知っておいてほしい」と、幸田医師は話しています。
更年期の電話相談で女性たちの声をきいていると、ホットフラッシュや冷え、動悸などの身体的な更年期症状と、気分の落ち込みや不安感、やる気が出ないなどの精神的な症状を併せもっている方が多いのを実感します。背景には、介護や子どもの進路、経済的な事情、夫の単身赴任など、生活上のストレスが絡んでいる場合もよくあります。
こうした更年期女性たちが求めているのは、十分に話を聴いてほしいということ。共感を持って自分の思いを受け止めてもらうことで、気持ちが落ち着き、同時に問題点が整理されて、自分に合う治療を受けようと行動につなげていく人もいます。
相談の方も、自分だけで悩みを抱え込まないことが大事です。婦人科で相談して出血の少ない投与方法でホルモン補充療法を再度試してみる、精神科の医師に薬の種類や組み合わせを工夫してもらう、漢方外来を受診して相談する、電話相談に掛けてみるなど、自分に合う治療を納得して受けるために、できることから始めていきましょう。
☆NPO法人「メノポーズを考える会」の電話相談(03‐3351‐8001)火曜・木曜の午前10時半~午後4時半。ホームページ http://www.meno-sg.net/
回答者・安井 禮子(医療・健康ジャーナリスト)(「毎日らいふ」2008年5月号より)
2008年4月16日


