2008年4月14日 -- 医療 --

顔面神経まひ

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突然異変 原因分からず

発症後1か月半たった時の藤野さん(右)。顔の左半分が動かず、苦労した(左は妻、千鶴子さん)=藤野さん提供

 東京都の藤野良洋さん(64)は昨年11月、車を運転中、顔がこわばるような違和感を感じた。

 「寒いせいかな?」と気にかけずにいたが、翌朝、鏡を見ると、顔の左半分が右側に比べて3センチも垂れ下がっていた。

 痛みはないのに、顔の左半分だけ、額もまぶたも唇も、まったく動かない。近所の脳神経外科で、「顔面神経まひだと思います」と言われた。

 顔面神経まひは、脳から顔の筋肉につながる顔面神経が障害を受ける病気で、脳梗塞(こうそく)、脳腫瘍(しゅよう)、中耳炎などの病気で起きることがある。だが、最も多いのは、はっきりした原因が分からない「ベルまひ」と呼ばれるものだ。藤野さんも脳の検査で異常がなく、「ベルまひ」と診断された。

 傷ついた顔面神経の腫れをとるステロイド薬を1週間分、処方された。あとはリハビリをしながら、自然に顔面神経が再生するのを待つしかないという。

 左目のまぶたが閉じないので、涙が流れっぱなし。視界がぼやけ、つまずくこともあった。寝る時は、ばんそうこうを張って目をふさいだ。唇も左半分が動かず、ごはんをぽろぽろこぼした。外出すると、周囲の人から避けられることもあった。「自分は男だからいいが、若い女性はつらいだろうな」と思った。

 手稲渓仁会病院(札幌市)耳鼻咽喉(いんこう)科部長の古田康さんによると、ベルまひは年齢や性別を問わず、突然起きる。最近、体内に潜伏していた単純ヘルペスウイルスや、水ぼうそう、帯状疱疹(ほうしん)のウイルスが活性化して顔面神経を傷つけ、まひを起こすことが多いと分かってきた。ステロイド薬に加え、抗ウイルス薬を併用することもある。

 まひの程度が軽ければ、1~2か月で完全に治る。顔の半分がまったく動かない場合でも、完全に治る率は80~90%。残りの10~20%は、顔の動きの左右差や、けいれん、ひきつれなどの後遺症が残ることがある。

 古田さんは、顔面神経まひの詳しい情報をホームページ(http://www.ne.jp/asahi/hokudai/oto/index.html)で紹介している。「早めの診断と治療が重要。異変があったら、すぐ医療機関を受診して」と呼びかける。治療は、耳鼻咽喉科、脳神経外科、神経内科などで受けられる。

 約5か月たち、藤野さんのまひは少しずつ回復し、左目も完全ではないが閉じるようになった。「突然のことで驚いた。気長に回復を待つしかない」と話す。

2008年4月7日 読売新聞

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