病院の実力 人工関節
15年後 1割にゆがみ
(右)再手術で入れた人工関節のエックス線画像。最初の人工関節より厚みがあり、安定させるために、軸が骨により深く入っている (左)初回治療の人工関節。骨の浅い部分で固定できる(勝呂徹さん提供)
加齢に伴う変形性関節症と異なり、関節リウマチの場合は若くして人工関節を入れ、再手術が必要になることも少なくない。
神奈川県の主婦Aさん(51)も30歳前後で、両ひざを人工関節にした。その後20年近く、子育て、雑貨店店長、習い事と活動的に暮らしてきた。
ところが、3年ほど前、両ひざに痛みが再発。最初は左ひざ、その後、右ひざも痛んだ。「歩いていたら、関節がガクッとゆれる感じがしました」とA さん。気がつくと、ひざの上で人工関節の位置がずれ、骨が内側に出っ張っていた。仕事をやめ、それからは外出もめっきり減った。
地元の病院に行くと「本来は骨に密着している人工関節にゆるみが出て、関節が不安定になっている」と説明された。
これを解決するには、新しい人工関節に取り換える再手術が必要になる。Aさんは、地元の医師に紹介された東邦大医療センター大森病院(東京都大田 区)を受診した。同大整形外科教授の勝呂徹さんによると、人工関節は15年で約10%にゆるみやゆがみが生じ、再手術が必要になるという。
ずれは両ひざにあったが、特に大きい左から再手術することになった。手術は、古い人工関節を外す作業から始まる。ゆるんだひざ上の部分は簡単に外れたが、下側は骨にきつくはまったままで、薄刃ののこぎりで、骨を壊さないように丁寧に取り外した。
また、上の方の骨が大きく削れているので、一回り大きい人工関節にして、さらに自分の骨か人工骨などで補う必要があった。Aさんの場合、手術中に削った骨の破片を集め、血液を混ぜ圧縮し固めて補った。
多くの病院では、初回の人工関節手術は2時間~2時間半で済み、1か月前後で退院できる。一方、再手術は手術時間も入院期間も、倍以上になることが多い。
Aさんは、再手術で左ひざが改善されたら、右にかかる負担も減り、問題なく歩けるようになった。
「再手術の前は家に引きこもり、気分も沈んでいたが、歩けるようになった今は、生け花やお菓子作りなどの習い事に出かけ、以前のように楽しく暮らしています」とAさん。
勝呂さんによると、人工関節は約20年前から本格的に普及したが、ここ5年ほど入れ替えのための再手術が増えている。今後も増加が予想されるが、 技術的に難しいため、どの病院でも対応できるわけではないという。「再手術は、手術件数の多い病院に相談した方が、経験している可能性が高いでしょう」 と、勝呂さんは話している。
2008年3月26日 読売新聞


