大腸・胃がんのサイン
(下)みぞおち辺り 強い痛み
胃を切った人の会「アルファ・クラブ」の会報を見る鈴木さん(千葉県内の自宅で)
千葉県市川市の鈴木良造さん(63)は一昨年夏、みぞおちのあたりに、チリチリするような強い痛みを感じた。これまで経験のない感覚だったが、市販の胃薬を飲み続けると1週間で痛みは取れた。
半年ほど過ぎた昨年2月、今度はみぞおちより上の、胸の下の部分に、しびれるような痛みを感じた。
「これは普通ではない」
実は、ほかにも気になることがあった。3食きちんと食べているのに、体重は1年前の3キロ減。鏡に映った腕の筋肉も落ちていた。
近くの病院で心電図と胸のエックス線検査を受けたが、異常はない。「様子を見ましょう」と言う医師に、鈴木さんは、内視鏡検査をしてくれるよう強く頼んだ。鈴木さんの弟が、10年ほど前に胃がんの手術を受けていたからだ。
5日後、鼻から挿入する内視鏡で検査を受けた結果、胃がんが見つかった。それも、胃の表面より深く進んだ進行がんだった。3月下旬に手術で胃をす べて切除した。検査の結果、リンパ節などへの転移はなかった。「あの時、内視鏡検査をお願いして良かった」と鈴木さんは振り返る。
杏林大第三内科教授の高橋信一さんによると、進行胃がんでは症状が表れやすい。胃の痛み、胃もたれ、胸焼け、食欲低下と体重減少などだ。普通に食べていても、がんに栄養を取られてやせることもある。さらに進むと、吐血やタール状の大便が出る場合もある。
一方、早期の段階では、がんによる症状はほとんどなく、検診で見つかるケースが少なくない。
しかし、早期でも、付随する胃炎による症状が表れることがある。胃がんは、胃粘膜が委縮して薄くなる慢性胃炎の一つ「委縮性胃炎」の状態から発生しやすい。胃炎の症状は進行胃がんと似ていて、胃もたれや胃の痛み、胸焼けなどだ。
高橋さんは「胃がんと胃炎の症状の区別は難しいので、症状が続く場合は、市販の胃薬を飲まずに、一度、内視鏡検査を受けた方がいい」と勧める。
胃や十二指腸のかいようを引き起こすピロリ菌も胃がんと関係している。菌がいる人は、抗菌薬による除菌治療も予防につながる可能性がある。
また、人間ドックや職場健診などで「ペプシノゲン法」と呼ばれる血液検査を受け、陽性と結果が出た場合も、内視鏡検査を受けた方が安心だ。
ペプシノゲン法は、胃がんがあると増える血液中のたんぱく質を調べる。ただし、胃炎や胃かいようでも陽性になることがある。
高橋さんは「自覚症状がなくても、40歳以上はなるべく定期的に胃がん検診を受けた方がいい」と勧めている。(山口博弥)
(明日からは「病院の実力・人工関節」です)
ピロリ菌 胃かいようや十二指腸かいようなどの原因となる細菌。最近の研究で、胃がんとの関係も解明されつつある。菌の有無は呼気検査などで調べる。50歳以上では、保菌者が多い。抗菌薬で除菌でき、かいようなどの再発を高い確率で防ぐことができる。
2008年3月24日 読売新聞)


