2008年3月 9日 -- 医療 --

「救急」のあり方 医師の叫び

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子どもを診察する小児科医。小児科医の不足は大都市、地方を問わず深刻だ(山形県川西町の公立置賜総合病院で)

 13日から本紙1面などで連載した「医療を変える」には、一線の医師たちから様々な反響が寄せられた。

 人手不足から医師が過酷な勤務を強いられた兵庫県立柏原病院(丹波市)で、小児患者の母親らが「県立柏原病院の小児科を守る会」を結成、不急の受診をしないよう市民に呼びかけ、病院の救急医療の危機を救った。

 これを伝えた記事について、鹿児島県鹿屋市の小児科医、松田幸久さんは「より良い医療には、医師と患者の信頼関係が必要。地域のお母さんたちに、医師が置かれている状況を理解してもらうことは、その手がかりになる」と話す。

 「救急医療の充実には、医師の技術向上も必要」という意見も少なくない。

 元救急隊員の男性は「心臓マッサージや人工呼吸の初期的な処置ができない開業医もいる」と手厳しい。

 京都大医学部(初期診療・救急医学)助教の山畑佳篤さんは、若手医師向けに救急医療の研修メニューの開発に携わる。

 歩いて病院に来た患者でも、心筋梗塞こうそくや軽い脳梗塞を起こしている場合もある。それを見抜くのが研修の目的で、山畑さんは「専門分野にかかわらずこうした知識が共有されれば、見逃しやたらい回しが減るはず。多くの医師に研修に参加してほしい」と話す。

 「開業医は救急医療を支える責務を負う」との本紙の提案には、「地方では、開業医の負担は限界に来ている」と窮状を訴える声もあった。

 三重県のある市では、自治体病院が建てられたが、医師が集まらない。開院当初、産科や救急医療を担う役割が期待されたものの、結局、地元開業医が当番制で夜間休日の救急医療を行っている。医師会関係者は「医師不足の病院に代わって開業医が救急を支えるという発想は、都市部においてのみ有効な解決策だ」とメールにつづった。

 千葉県木更津市のある民間病院は、看護師の数が足りず、病床を増やせない。

 職員の給料を工面するため、院長自ら当直勤務を繰り返し、コストを抑えている。それでも看護師は、より待遇の良い大都市の病院へ移る。院長は「ベッドを増やして救急にも対応したいが、これでは地域の医療水準は下がる」と嘆く。

 「心臓手術件数に比べ、国内に2000人いる心臓外科医の数は多い」という記事に、ある心臓外科医は「医師の仕事は手術だけではない」と反論する。「心臓外科医は、手術前から手術後まで、患者の容体管理などに携わっている。手術に専念できる欧米の医師とは事情が違う」

 それでも、技術の向上のためには、医師がこなす平均手術件数が少ない現状には問題がある。

 患者と医師、双方が納得できる医療のあり方を、今後も探っていきたい。
(「医療を変える」=開業医編、反響編=は山口博弥、利根川昌紀、鈴木敦秋、館林牧子が担当しました)

 (来週は「心臓病・脳卒中のサイン」です)

2008年2月29日 読売新聞

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