2008年3月 5日 -- 癌 --

病院設備借り専門治療

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最新の医療機器を使った治療に取り組む高安さん(神戸市の「たかやすクリニック」で)

 神戸市の元会社役員、青木一弘さん(67)は一昨年、急に体重が減り、検査で胃がんが見つかった。肝臓や腹膜にも転移しており、医師に抗がん剤治療を勧められた。だが、友人から「副作用が強い」と聞き、治療を受けずに漢方薬を飲んでいた。

 しかし、昨年5月、肝機能を示す数値が低下、だるさで歩行も困難になった。

 その翌月、神戸市灘区の「たかやすクリニック」を受診、院長の高安幸生さんから「血管内治療」を勧められた。

 エックス線で透視した画面を見ながら、血管にカテーテル(細い管)を通し、肝臓の病巣に直接、抗がん剤を注入する方法。「IVR」とも呼ばれる専門的な治療だ。

 薬を点滴する通常の抗がん剤治療と違い、薬が病巣に直接届き、効果が期待され、吐き気やだるさなどの副作用も比較的少ない。青木さんは、この治療を受けることにした。

 治療には、足の付け根の血管からカテーテルを通すなどの処置が必要だ。クリニックにそれらの処置を行う設備はなく、契約した病院の施設を借りて行う。

 青木さんは、その病院に入院。高安さんが出向いて、カテーテルを肝臓まで通し、置いたままにする処置などをした。その後はクリニックに通い、抗がん剤治療を受けた。

 治療でがんが縮小、「体が楽になった」と青木さん。春には、体力づくりにウオーキングやジョギングを始めるつもりだ。

 高安さんは以前、病院に勤務していた時、放射線科医として、がんなどの画像診断を行った。血管内治療も学び、主に肝臓病患者にIVR治療を行ってきた。

 10年前、留学先の米国で、開業医が自分の診療所だけでなく、患者が入院した病院に赴き、手術や回診をする姿を見た。「これなら、開業してもIVRができる」と考えた。

 2002年に開業し、年間120~130例の治療をこなす。契約先の病院に自分の患者が入院した際は、病院に出向いて回診する。

 高安さんは、一般的な内科診療の傍ら、こうした専門治療を行う。

 「検査や治療の担当者が分かれている病院と違い、診察から検査、治療まですべて私が行うので、治療を続けるうえでの患者さんの悩みなども把握できます」。身近なかかりつけ医が専門治療も行う利点と言える。

 IVRは、医療機器が高価なうえ維持費もかかり、診療所に導入するのは容易ではない。病院の設備を利用すれば、治療技術を持つ開業医が腕を生かせる。厚生労働省も、開業医が病院で診察した場合に、診療報酬を得られるようにしている。

 開業医の病院での回診 病床を開業医に開放している病院の医師と共同で患者を診療、指導した場合、患者1人について1日1回350点(3500円)が診療報酬として開業医(診療所)側の収入になる。診療所側と病院側の診療録にそれぞれ記録する必要がある。

2008年2月27日 読売新聞

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