加圧トレーニング:短時間で筋力アップ 腕、脚にベルト巻き運動
スポーツ選手や芸能人の愛好者が多いと話題の「加圧トレーニング」。短時間で効率的に運動でき、ダイエットや美肌効果もあるというが、どのようなものなのか。専門のスポーツジム「コスモス」溝の口店(川崎市)を訪ねた。【柴田真理子】
■すぐに汗だく
「1、2、3、4」。ジムの一角で回数を数えながらダンベル運動を行っていたのは同市の主婦、内川ともこさん(48)。両腕の付け根には血流を制限する加圧トレーニング専用ベルトを巻いている。運動開始直後にもかかわらず、早くも汗だくだ。時々、トレーナーが「握り方に注意」などとアドバイス。同ジムでは会員1人にトレーナーが1人つき、ベルトの調整や運動指導を行う。
15分間で腹筋や胸の引き締めなど6種類の動きをこなし、次は下半身のトレーニング。今度はベルトで両脚の付け根を締める。マットに寝たまま腰の上げ下げや、足首に重みを掛けて前後に動かす運動を行い、上半身と合わせ計30分で終了。最後に脂肪の燃焼率を上げるため、20分ほどウオーキングマシンで有酸素運動を行った。
■減量と美肌に
内川さんが加圧トレーニングを始めたのは4年前。米穀店でパートを始めて荷物を運ぶことが増え、「体力の衰えを防ぎたい」と実感したからだ。同ジムはマンツーマン指導なのでけがの心配がないといい、血行が良くなって「肌がぷるぷるになった」と笑顔で話す。食事など生活習慣も見直し、体重は8キロ減ったという。
同ジムに通う女性会社員(40)は仕事が忙しくなり、疲れやすさを感じて始めた。1カ月後、肩こりが治り、息が上がった通勤途中の階段も楽々と上れるようになった。「忙しくても、週1回なら続けられる」と言う。
■力が入らない
記者も30分の体験レッスンに挑戦した。圧力をかけたときの違いを実感するため、左腕のみにベルトを巻く。想像以上に腕が締め付けられ、運動する前から、力が入らない感じがする。手のひらが、あっという間に赤みがかってきた。
ダンベルを握り腕を上下すると、5回目くらいからベルトを巻いている左腕が上がりにくくなる。右腕とはまるで感覚が違う。「ひじをぶらぶらさせないで」「手首は曲げない」とアドバイスされる。注意を守ると、さらに動かしにくい。
左腕のベルトを取り、次は左脚。マシンを使い、ももを鍛える。とにかく左脚が重い。「あまり体力がないですね。でも、それくらいから始める人もたくさんいます」と同ジム会長の高岡光弘さん。ジョギングしたり日ごろから運動を心がけていたが、より効率的な筋力アップの必要性を実感させられた。
◇血液を酸欠に…軽い負荷で効果
加圧トレーニングは、サトウスポーツプラザ(東京都府中市)社長の佐藤義昭さんが40年ほど前に発明。東京大学大学院医学系研究科(加圧トレーニング・虚血循環生理学講座)や米国・ラトガー大学などと共同研究を実施。04年に、研究者や指導者らによる日本加圧トレーニング学会も発足した。短期間で比較的簡単に筋力アップできるのが特徴で、最近ではけがのリハビリや脳梗塞(こうそく)の後遺症改善にも効果があると注目されている。
軽い運動で効果が上がるのは、動脈と静脈を締め付けることで、血液が酸欠状態になり「大きな負荷がかかっていると、筋肉が“勘違い”するから」と高岡さん。さらに、乳酸が血中にたまるため、脂肪を分解したり、肌の弾力を増す成長ホルモンの分泌が促進される。
週1回でも効果があるが、筋肉や関節自体は酷使しないので回数を増やしても大丈夫だ。佐藤さんの著作「ササッとわかる『加圧トレーニング』健康法」(講談社)では、さらに詳しいメカニズムやトレーニング方法を紹介している。
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■加圧トレーニングを行うには
発明者の佐藤さんが定めた講習を受けた指導者が、病院や整骨院、大学、スポーツクラブなど全国の数百施設で指導を行っている。最寄りの施設はサトウスポーツプラザのホームページ(http://www.kaatsu.com/)で検索できる。問い合わせは電話042・336・1331。
コスモス(電話044・811・3132)は、月4回が基本で費用は月2万9400円。
サトウスポーツプラザでは、自宅でトレーニング可能なベルト「筋力アップクンEX(脚用5万1975円、腕用4万6725円)」の販売も行う。適切な圧力の設定などのためのセミナー受講が必要で、最初は指導者がいる施設で正しい方法を身につけることを勧める。
手軽に試したい場合は、スポーツウエアメーカー「フェニックス」と共同開発した専用ウエア「カーツ」(シャツ1万5750円~、パンツ1万9950円)も。着用して、スクワット、腹筋など自分のペースで運動する。ウエアとベルトが一体になっていて、購入時にアドバイザーが圧力を設定する。全国約200店舗のスポーツ洋品店で販売。問い合わせは電話03・5746・6535。
毎日新聞 2008年2月28日 東京朝刊


