2008年2月14日 -- 花粉症 --

花粉症 近づくスギ花粉の飛散。花粉症の薬の使い方や注意点は。

  • Google Bookmarks
  • Yahoo!ブックマーク
  • はてなブックマーク
  • del.icio.us
  • livedoor クリップ
  • POOKMARK Airlines
  • ニフティクリップ
  • Buzzurl
  • newsing it!

 ◆花粉症 近づくスギ花粉の飛散。花粉症の薬の使い方や注意点は。

 ◇症状ごとに使い分け/改善後も飛散期間は継続服用/眠気、判断力低下の副作用も

 ■望ましい初期療法

 国民の2割は花粉症患者といわれる。最近は「早めの治療」が強調され、飛散開始日や飛散量の予測も盛んだ。今年は、一部地域では間もなくスギ花粉の飛散が始まると予測され、例年より早そうだという。

 厚生労働省研究班に参加した専門医が作成した花粉症治療ガイドラインは薬を使った治療について、(1)症状が出る前から始める初期療法(予防的治療法)(2)症状が強くなってから始める導入療法(3)よくなった状態を維持する維持療法--の三つに分類している。初期療法を行うと、症状が出るのを遅らせることができたり、症状が軽くてすむという。なぜなのか。

 花粉症の薬は、くしゃみや鼻水、かゆみを引き起こすヒスタミンやロイコトリエンという化学伝達物質の働きを抑える作用がある。独協医科大の馬場広太郎名誉教授(耳鼻咽喉(いんこう)科)によると、花粉を浴び続けているうちに、鼻粘膜などの過敏性が高まってくるが、早めに服用を始めると、それを抑えることができるという。馬場さんは「早くから症状が出る人は、花粉の量が増えていくと症状が重くなるため、初期療法が望ましい」と説明する。

 ■症状のピーク把握

 しかし、患者すべてに初期療法が必要というわけではない。馬場さんは「初期療法は飛散開始前から行うと考えられているが、患者によっては3月中旬に症状が出る人もいる。一律に2月に入ったら薬を飲むというのは不合理。症状が出るのが遅くて軽くすむ人は、症状が強いときに飲めばよい」と指摘する。自分の症状が出始める時期やピークを日記につけて把握しておくことを、馬場さんは勧める。医師に自分の状態を伝えるのに役立つという。

 薬によって作用が違うため、症状に合った薬の使い方が大切だ=表。最もよく使われるのが抗ヒスタミン薬で、くしゃみ、鼻水に効果があるが、鼻づまりにはやや弱い。鼻づまり型の人には、抗ロイコトリエン薬が追加される。

 鼻噴霧用ステロイド薬(点鼻液)はどの症状にも効果があり、鼻粘膜に直接働くため副作用も少ないとされる。このため抗ヒスタミン薬に点鼻液を併用する治療法が一般的だ。

 しかし、抗ヒスタミン薬といっても、多くの種類がある。藤枝重治・福井大教授(耳鼻咽喉科・頭(とう)頸(けい)部外科学)は「どの薬が自分に合うかは飲んでみないとわからない。飲んでよかった薬の名前を覚えておくのがポイントだ。症状がよくなると薬を中止したくなるが、飛散期間は継続した方が悪化しにくい」とアドバイスする。

 目のかゆみには、点眼用抗ヒスタミン薬などが処方される。点眼用ステロイド薬は、緑内障を起こす恐れがあるため、慎重に使われる。

 ■二つの「世代」  

 抗ヒスタミン薬の副作用に注意を呼びかける専門家もいる。一般的に処方せんなしで薬局で買える薬に多い「第1世代」と呼ばれる抗ヒスタミン薬は、眠気が起きやすいとされる。眠気などの副作用を改善したのが、医療機関で処方される「第2世代」の抗ヒスタミン薬だ。自分の服用する薬がどちらの世代なのかは、医師や薬剤師に相談するとよい。しかし、東北大の谷内一彦教授(臨床薬理学)は「第2世代でも判断力や集中力の低下が起こることがある」と警告する。

 ヒスタミンは脳内にも存在し、脳活動を活発にする働きがある。抗ヒスタミン薬が鼻粘膜で作用していれば問題ないが、脳に移行すると、脳での働きも阻害してしまう。谷内さんは「脳内でヒスタミンの働きがブロックされた場合、気づかないうちに判断力や集中力が低下してしまう恐れがある」と指摘する。

 脳への移行のしやすさは薬によって違う。谷内さんらの実験によると、脳に移行しやすい薬を服用した人は、移行しにくい薬を服用した人に比べ、車の運転時にブレーキを踏むタイミングが遅れる傾向にあるという。脳に移行しやすい薬は飲酒運転と同じぐらいのリスクがあるとされ、米国の多くの州ではこうした薬の服用時の運転が禁止されているという。【下桐実雅子】

毎日新聞 2008年1月29日 東京朝刊

健康を応援する健康情報館のトップページへ