ヘルシーリポート:健診前にメタボ対策 こまめにエネルギー消費を
健康で長生きするには、まだ病気になっていないうちにメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)にならないよう気をつけることが大切だ。今年4月から、国の方針で特定健診・保健指導が始まる。健康診断で異常が見つかれば、生活改善など保健指導が行われる仕組みだ。いまからでも遅くない。予防策を知って、健康診断にのぞみたい。【小島正美】
◇食事を減らして適度な運動
メタボリックシンドロームは、病気と健康の中間に位置する半健康な状態。診断指標はいくつかあるが、代表的なのが男性の腹囲85センチ以上、女性の腹囲90センチだ。その数値をめぐっては、専門家の間で論争はあるものの、最大の元凶がおなかにたまる内臓脂肪なのは間違いない。
おなかがふっくらと出っ張り、なおかつ血糖値が高かったり、脂質異常があると、動脈硬化や脳卒中などになるリスクが高くなる。
同シンドロームの予防策などを分かりやすく解説した「太らない生き方」(PHP研究所)を著した栗原毅・東京女子医科大学教授(戸塚ロイヤルクリニック所長)は「予防で大事なことは、こまめに動いてエネルギー消費を増やし、内臓脂肪をため込まないことだ」と語る。
■知っておきたい内臓脂肪
体脂肪が多いと肥満になるが、体脂肪には大きく分けて皮下脂肪と内臓脂肪がある。
メタボリックシンドロームで問題になるのは内臓脂肪の方だ。内臓脂肪は、大腸や小腸の腸間膜にくっついている脂肪。「私は太っていないから、内臓脂肪は少ないはずだ」と外見だけで判断してはいけない。腹囲が82センチなのに、内臓脂肪の断面積を測ったら100平方センチ以上というケースがあるからだ。逆に腹囲が85センチ以上でも、断面積が100平方センチ未満の場合もある。
まずは、おなかが出っ張っている人は自分のおなかを指でつまんでみよう。つまめない場合には皮下脂肪が少なく、内臓脂肪が多い恐れがある。男女とも腹囲が八十数センチ以上の人は一度、病院で内臓脂肪の断面積を測ってもらうのもよいだろう。
内臓脂肪を減らすうえで知っておきたいのが中性脂肪の数値。血中の中性脂肪値が1デシリットルあたり150ミリグラム以上だと赤信号だ。
食べたものがエネルギーとして使われないと体脂肪となって体にたまる。その脂肪がおなかにたまれば内臓脂肪、肝臓にたまれば脂肪肝、血液にたまれば中性脂肪となる。
つまり、内臓脂肪が多いと血中の中性脂肪も増える。中性脂肪が増えると悪玉コレステロールを減らす働きをもつ善玉コレステロールも減る。栗原さんは「一般にはコレステロールへの関心が高いが、それよりも中性脂肪の方に気をつけた方がよい」と話す。
中性脂肪を減らすには、体脂肪を燃やすことが必要だ。それには食べ過ぎを減らすか、運動をして、筋肉を維持するのがよい。体に取り入れたエネルギーを消費する場は主に筋肉だ。その筋肉が多いと体脂肪は燃えやすくなる。
ちなみに、おなかにたまった内臓脂肪は、手でもみほぐしても分解されない。サウナで汗をかいても、水分が減って体重は減るかもしれないが、内臓脂肪はほとんど減らないことを知っておこう。
■4カ月で2~4キロ減量を
では、どうすべきか。栗原さんは「4カ月に2~4キロ程度、体重を減らすのを目標にすれば、結果的に内臓脂肪も減る」と提案する。
具体的には1日あたり120~240キロカロリー程度に相当する食事を減らし、適度な運動を続けることだ。毎回の食事を腹八分目にすれば、100~200キロカロリー程度の削減になるはずだ。
運動の目的は筋肉量を維持することであり、激しい運動をする必要はない。「毎日、早足で歩く」「1日数分のスクワットかダンベル体操、腹筋・背筋運動を行う」で十分だ。
栗原さんの診察を受けた47歳の男性は、これらを実践して、4カ月で4キロ減らした。その結果、内臓脂肪の断面積は108平方センチから90平方センチに減り、腹囲は約87センチから約81センチになった。とにかく、こまめに体を動かし、太らないようにする生き方を心がけたい。
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■ことば
◇特定健診
特定健診・特定保健指導は、会社や国民健康保険など医療保険者に特定健康診査と特定保健指導を義務づけるもので、40歳以上の被保険者と被扶養者が対象。
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◇メタボになりやすい悪い生活習慣の例◇
(1)朝食をあまり食べない
(2)夕食が遅く、寝る2時間前によく食べる
(3)早食いである
(4)間食や夜食をよく取る
(5)食べてストレスを発散させることが多い
(6)缶コーヒーやジュースをよく飲む
(7)週に5日以上酒を飲む
(8)たばこを吸う
(9)睡眠時間が6時間以下になることが多い
(10)運動が好きでない
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◇保健指導の判定目安◇
(1)腹囲=男性85センチ以上、女性90センチ以上
(2)血圧=最高130以上、最低85以上
(3)脂質
▽LDL(悪玉コレステロール)=1デシリットルあたり120ミリグラム以上
▽HDL(善玉コレステロール)=1デシリットルあたり40ミリグラム未満
▽中性脂肪=1デシリットルあたり150ミリグラム以上
(4)空腹時の血糖値=1デシリットルあたり100ミリグラム以上
(5)肝機能
▽γ-GTP(たんぱく分解酵素)=1リットルあたり51U以上
▽AST(GOT)とALT(GPT)=1リットルあたり31U以上
※ASTとALTは肝臓の機能が悪くなると増える酵素。Uは酵素量を測る国際共通単位。
毎日新聞 2008年1月26日 東京朝刊


